廊下を捨てて、余白を得る。「casa piatto(カーサ・ピアット)」の”2.4mの天井高”と”引き戸”が変える空間

平屋住宅において「広さ」は、単純な床面積だけで決まるものではありません。「casa piatto(カーサ・ピアット)」は、あえて廊下をなくし、天井高2.4mと引き戸を組み合わせることで、限られた面積の中に豊かな余白を生み出しています。

生活面積を最大化する「casa piatto」の設計思想

casa piatto

「廊下なし」という間取りは、一見すると大胆な省略に見えますが、平屋においては合理性の塊でもあります。廊下は移動のためのスペースであり、居場所として使いにくい「非滞在空間」です。casa piattoはこの非滞在空間を極力削り、LDKや個室、収納といった“滞在できる面積”へ振り替えることで、同じ床面積でも体感のゆとりを押し上げています。

casa piatto

さらに、廊下がないことで動線が一本化されず、家の中心を経由して各室へアクセスする構成になりやすい点も特徴です。結果として、生活の動きが自然にリビングへ回帰し、家族が散らばりすぎない距離感をつくります。平屋はワンフロアで完結する反面、面積配分を誤ると窮屈さが出やすい住宅形式です。その弱点を「廊下を捨てる」という判断で補い、限られた面積の中に余白と機能を同居させる。casa piattoの設計思想は、見た目のシンプルさ以上に、面積の使い方そのものがデザインになっている点に価値があります。

天井高2.4mが生む「余白」

casa piatto

平屋の快適性は、床面積だけで決まるものではありません。むしろ、同じ面積でも「高さ」の扱い方で空間の印象は大きく変わります。casa piattoが採用する天井高2.4mは、過度に高くして豪華さを狙うのではなく、日常のスケール感を崩さずに“伸びやかさ”だけを足すための寸法として効きます。視線が上へ抜けることで圧迫感が減り、家具や人の気配が増えても室内が詰まって見えにくくなります。

casa piatto

また、天井が高いと窓上端も上げやすくなり、採光が室内の奥まで届きやすくなるため、平屋にありがちな「中央が暗い」問題の対策にもつながります。さらに、廊下なしの構成では、LDKが家のハブとして面積も滞在時間も増えます。その中心空間に高さの余白があると、同じワンフロアでも“呼吸できる場所”としての質が上がり、家全体の体感価値を底上げします。天井高2.4mは数字としては控えめに見えても、平屋のワンルーム的な連続空間と組み合わさることで、水平だけでなく垂直方向にも余白をつくり、空間デザインの厚みを生み出しています。

引き戸でつながる“ひとつの舞台”

casa piatto スタディースペース

casa piattoの空間を語るうえで欠かせないのが「引き戸」の多用です。開き戸は扉の可動域(引きしろ)を必要とし、家具配置や動線に制約を生みやすい一方、引き戸は壁際にスライドして納まるため、床面積をより“使える面積”として確保できます。加えて、引き戸の本質は省スペース性だけではありません。閉じれば個室として落ち着ける、開け放てば隣室と一体化して大きなワンルームになる。この「状態を選べること」こそが、平屋の価値を広げます。例えば子どもが小さい時期は、引き戸を開けて視線と気配をつなぎ、家全体を見守りやすい舞台にする。来客時は必要な部分だけ閉じて生活感を隠す。

casa piatto スタディースペース

仕事や趣味に集中したいときは、引き戸を閉じて音や視線をコントロールする。つまり、平屋の弱点として語られがちな“個室の独立性”と、“家族のつながり”を、引き戸の開閉で行き来できる設計になっています。廊下なしで連続する空間に、引き戸という可変の境界を組み合わせることで、家全体がひとつの大きな舞台になり、暮らし方に合わせてシーンを編集できる。casa piattoの空間デザインは、固定された間取りではなく、住まい手の時間に応じて表情を変える「運用のデザイン」まで含めて成立しています。

完成度の高い空間デザインの「casa piatto(カーサ・ピアット)」

「casa piatto(カーサ・ピアット)」の空間は、単にシンプルな平屋というだけでなく、「どう使われ、どう変化するか」まで設計された住まいです。廊下をなくすことで生活面積を最大化し、天井高2.4mによって平面的な広がりに垂直方向の余白を加え、引き戸で空間を柔軟につなぐ。そのすべてが組み合わさることで、家全体がひとつの大きな舞台のように機能します。固定された間取りに暮らしを合わせるのではなく、暮らしに合わせて空間が応答する。casa piattoは、平屋の可能性を合理性と美しさの両面から引き出した、完成度の高い空間デザインといえるでしょう。