91会場に渡りのべ約25万人が来場したDESIGNART TOKYO 2025「Brave 〜本能美の追求〜」
過去最多の91会場で開催され、のべ約25万人を動員したDESIGNART TOKYO 2025。「Brave 〜本能美の追求〜」を掲げた今年の祭典は、ワールド北青山ビルの旗艦展示や若手支援「UNDER 30」、そして街中のショップと連動し、東京を世界で最もクリエイティブなデザインの発信地へと変貌させました。
過去最大規模の91会場で開催された「Brave」の全貌

2025年、東京の秋を彩る日本最大級のデザイン&アートフェスティバル「DESIGNART TOKYO 2025」は、10日間で計91会場、のべ約25万人の来場者を記録し、大盛況のうちに幕を閉じました。今年のテーマ「Brave 〜本能美の追求〜」は、AIやデジタル技術による効率化が進む現代において、あえて理論を超え、人間の「本能」に訴えかけるような力強く直感的な美しさを提示することを掲げました。

表参道・外苑前、原宿・明治神宮前、渋谷・恵比寿、六本木・広尾、銀座など都内10以上のエリアで同時多発的に展示が展開。街を歩きながら、最新のインテリアや現代アートを「購入できる」という独自の体験が、多くのコレクターや高感度な一般層を魅了しました。
渋谷の新拠点「MEDIA DEPARTMENT TOKYO」から放たれたクリエイティブの核心

渋谷の「MEDIA DEPARTMENT TOKYO」で開催されたオフィシャルエキシビション「DESIGNART GALLERY」は、世界各国33組のクリエイションが集結した大規模集合展です。会場全体がインフォメーションセンターや回遊の起点として機能し、多角的に最新のデザインを発信しました。

1階では、建築設計事務所COLLECTIVEが不織布でモダナイズした「障子」の空間演出が来場者を圧倒。続く空間では、世界的パルクールアスリートZENの日本初公開写真。

建築家・永山祐子と大京による動く壁「Relation Wall」、LIXILの空間再構築インスタレーションが「本能美」を提示しました。

2階は実験的な試みが中心で、三菱電機の金属3Dプリンタによる有機的な造形や、再生プラスチックの未来を模索する「+STORIES」が注目を集めました。

3階は国際色豊かで、フランスやスウェーデンの最新デザインが日本初公開されるなど、渋谷から世界へ繋がるクリエイティブの熱量を象徴する場となりました。

参加ブランド・クリエイター(順不同・敬称略)
1F / THE LIONS、 LIXIL 、ZEN 2F / Original Kolor Design、siwaza 、Hononga Collective、三菱電機 統合デザイン研究所、Tokio.、ZKI design Inc.、 WOHLHUTTE + 板坂 諭、130 OneThirty / 加藤 大直、.Garbon | .Gab、Ujin Lin by CONTRAST、 SUPER RAT、渡辺佑介 / WD、Asahi-Seiki × M&T、Sarah Tracton、ユーバイエヌアーキテクツ / ひわだや、 SHINYA YAMAMOTO、Paper Parade 3F / 乃村工藝社 noon by material record x &SPACE PROJECT 、平和合金 × we+、Institut Français(Mathilde Brétillot, Gala Espel, Claire Renard and Jean-Sébastien Blanc)、BLA STATION with ACTUS、Luis Marie – Fenna van der Klei and Patricio Nusselder、CUZEN MATCHA、1+1+1、aprg、Roee Ben Yehuda、IDE × HIS、 AYA KAWABATA
常識を疑い既存の枠組みを超えた「UNDER 30」

今年のテーマ「Brave」を象徴する、常識を疑い既存の枠組みを超えた実験的な作品が注目を集めました。高本夏実×sync株式会社による『兆し- From Error to Mirror』は、製造過程の「エラー」を鏡のような美へと転換し、偶然性の価値を提示。

また、次世代を担うUNDER 30勢の挑戦も鮮烈でした。TORQ DESIGNの『Pyro PLA Project』は3Dプリント素材の再定義を試み増田。

Nomadicの『PACKING FOR THE METHOD』は梱包という行為を構造的デザインへと昇華。

金森由晃の『情景 -scene (or memory)-』は、記憶の断片を物理的な形に落とし込む詩的な表現を見せました。これらクリエイターたちの勇気ある試みは、デザインが拓く新たな地平を力強く示しています。
印象的な色彩が美しいプレゼンテーション

素材の自然な色調から華やかなインスタレーションまで、今年は色彩が素材の可能性を切り拓く展示が揃いました。共和鋼業と落合守征による「金網の茶室」は、工業用金網を繊細な色で彩り幻想的な空間を創出。

CYUONと落合の展示では、粉体塗装のグラデーションが素材の境界を溶かしました。

AZUMA PLYWOODとHAKUTENの作品は合板の色彩を独自の視点で再構成。

レンジローバーとクライン ダイサム アーキテクツはラグジュアリーな世界を鮮やかな色彩で視覚化。いずれも色彩が素材のポテンシャルを最大限に引き出し、見る人の本能に深く刻まれる挑戦的なプレゼンテーションとなりました。
印象的なプレゼンテーションが際立った新作やコンセプト発表

新作の発表に加え、ブランド独自のビジョンを印象的なインスタレーションで視覚化した展示が大きな注目を集めました。
NIIによる『THE STAGE|働く人が躍動する舞台』は、オフィスを「舞台」と捉え、そこで働く人々のエネルギーをドラマチックな空間構成で演出。

Carl Hansen & Sønの『FRAMING COMPOS』では、時代を超えて愛される意匠をモダンなフレームの中に再構成し、クラフトマンシップの新たな表情を提示しました。

Time & Style Atmosphereの『柱と継ぎ手』は、日本の伝統建築を支える「継ぎ手」の美学に焦点を当て、自然と共生する精神性を象徴的に表現。

そして、松浦泰昭による『Memory as Distance』は、記憶という形のない概念を「距離感」として捉え直し、鑑賞者の感性に深く訴えかける詩的な空間を創出しました。いずれの展示も、単なるプロダクトの紹介を超え、ブランドが抱く深い哲学や未来へのビジョンを五感で体感させる、圧倒的なプレゼンテーションとなりました。
デザイン・ものづくりの裏側に迫る展覧会

近年、完成したプロダクトだけでなく、その「制作プロセス」や「ものづくりの裏側」をあえて公開し、デザインの背景にある物語を伝える展示が大きな人気を集めています。
乃村工藝社の「CREDIT -手間のかけら-」では、空間づくりの背後に潜む膨大な「手間」を可視化。普段は表に出ることのない思考の断片や試行錯誤のプロセスを丁寧に切り出し、クリエイションの重みを提示しました。

また、HaKU Design Studioの「Ephemeral Echoes」は、素材の変容や儚い瞬間に着目し、形が生まれるまでの詩的な対話を表現しました。

さらに、機械式腕時計の緻密なメカニズムをアートへと昇華させた「からくりの森」第4弾では、極小の部品が織りなす精巧な美しさを体感型展示として披露。
これらの展示は、専門知識の有無に関わらず、ものづくりの深淵に触れる喜びを提供しました。結果としての美しさだけでなく、そこに込められた情熱や技巧という「プロセス」を知ることで、デザインの真価を再発見する貴重な機会となりました。
東京の街が世界的なクリエイティブの熱狂に包まれた10日間

DESIGNART TOKYO 2025は、出展者・来場者ともにかつてないほど国際色豊かな顔ぶれが揃い、東京の街が世界的なクリエイティブの熱狂に包まれた10日間となりました。
開催初日のオープニングレセプションを皮切りに、連日各所でボーダーレスな交流が展開。特に、代官山 蔦屋書店との協働による業界横断型パーティ「CREATIVE BLEND」では、デザイン、アート、ビジネスなど多様な分野のコネクターが集結し、新たな共創の火種が生まれる刺激的な場となりました。

また、発起人のアストリッド・クラインとマーク・ダイサムが主催する「PechaKucha Night」も開催。出展アーティストたちが独自のプレゼンテーションを行い、国籍を超えたオーディエンスとの対話が深まりました。

会場間を移動するレンジローバーのオフィシャルカーが街に彩りを添え、パーティでは日本を代表する銘酒「獺祭」が振る舞われるなど、至る所で日本文化と世界の感性が融合。

会期を通じて行われたトークイベントやパーティは、単なる展示の枠を超え、活発なインターナショナル・コミュニティを創出する、極めてエネルギッシュな祭典となりました。
東京の都市のエネルギーとして昇華させた「Brave(勇気)」
DESIGNART TOKYO 2025は、素材や技術の限界に挑むクリエイターたちの「Brave(勇気)」を、東京という都市のエネルギーとして昇華させました。本能美というテーマを通じて提示された数々のアートとインテリアは、展示の枠を超えて、私たちのこれからのライフスタイルをより深く、より美しく変えていくきっかけとなるはずです。
DESIGNART TOKYO 2025
テーマ:「 Brave 〜本能美の追求〜 」
会期:2025年10月31日(金)〜11月9日(日)の10日間
エリア:表参道・外苑前・原宿・渋谷・六本木・銀座・東京
主催:DESIGNART TOKYO 実行委員会
発起人:青木昭夫(MIRU DESIGN)/川上シュン(artless)/小池博史(NON-GRID)/永田宙郷(TIMELESS)/アストリッド・クライン(Klein Dytham architecture)/マーク・ダイサム(Klein Dytham architecture)
オフィシャルウェブサイト:https://designart.jp/designarttokyo2025/
RECORD/実績(2025.12.05現在)
来場者数 のべ約248,800人
オンラインビュー数(Web・SNS含む) 約433万ビュー(8/10-11/17 )
メディア掲載数 628(新聞 / 雑誌 / WEB / ラジオ / SNS)
出展者数 130展示
参加クリエイター&ブランド数 約300名(アーティスト、デザイナー、建築家、ブランド)
会場数 91会場
マッチング数 70組