巨匠ル・コルビュジエの近代建築の五原則から「casa cube」を読み解く。
ヴァイセンホーフ・ジードルングの住宅
近代建築の巨匠ル・コルビュジエは、1927年にスイスの建築家アルフレッド・ロートの著書を通じて「近代建築の五原則」を発表した。
ル・コルビュジエはヴァイセンホーフ・ジードルングの住宅やサヴォア邸など次々と名作住宅を手掛けていったが、「近代建築の五原則」はその後の世界中の住宅建築に大きな影響を与えている。
そのル・コルビュジエの提唱した「近代建築の五原則」は現代ではどのように影響し、変容しているんだろうか。
デザイン性が高く、機能的美も充実の商品住宅「casa cube」で検証する。
ピロティからインナーガレージへ
ピロティとは2階以上を柱で持ち上げ、1階部分を駐車場など自由に使えるようにした空間だ。
現代、特に日本ではそれほど広い土地は確保できないし、防犯やプライバシーの面では不安だろう。
コルビュジエの白い建築と同じように白くて四角い「casa cube」では、その四角い形を崩さないようにインナーガレージになっている。
リビングの小窓から愛車を眺めることもできるし、そのガレージのシャッターは外観のアクセントにもなる。
屋上庭園が都市型テラスに
ル・コルビュジエの住宅の屋上庭園は、郊外型で非常にオープンな空間になっていたが、現代日本では中々難しい。
「casa cube」では周囲が壁で囲まれた空間になっている。
プライバシーの点でもメリットがあるが、美術館の屋外展示の空間のように空が切り取られアーティスティックだ。
また、例えばサヴォア邸の屋上庭園は日当りの良かったりスロープによって動線を確保しされたりしていたが、「casa cube」ではガレージの上部にあたり日当りが良いことはもちろん、階段を上がったフリースペースからもアクセスしやすい工夫などどこか通じるものはある。
間仕切りの自由な平面から住みやすい最適な間取りに
ヴァイセンホーフ・ジードルングの住宅の可動間仕切り
かつては建物を壁によって支えていたので、分厚い壁によって部屋の仕切り方が決めれていたが、近代建築では構造上必要な壁は少なくなったので、自由な部屋の形を作ることができる。
但し、注文住宅で自由に作ろうとしても中々気に入る間取りにデザインすることは難しいし、住んでみても結果として不満が出てきやすい。
「casa cube」は商品住宅であるから最初から住みやすい最適な間取りにデザインされている。
水平連続窓から防犯のためのスリット窓と採光のためのトップライト
コルビュジエの住宅ではファサードに特徴的な水平連続窓が現れているが、現代、特に住宅地などではこれは中々用いることは難しい。
「casa cube」の縦長のスリット窓は防犯性やプライバシーの確保などメリットが多い。
では、明るい内部空間はどこから採光しているかというとトップライトからで、自然光がリビングを照らし非常に明るい。
自由な立面としての窓がないファサード
自由な平面にあるように、建物を壁によって支える必要がなくなったので、正面の壁が自由にデザインできるようになった。
「casa cube」のファサードもまさに既存の住宅デザインに囚われないデザインだ。
内部空間が明るいのにスリット窓しかない四角い箱のようなファサードは不思議な感覚になる。
近代建築の巨匠ル・コルビュジエは、それまでの伝統に対し、伝統、構造、様式…あらゆる制約から解放し、明るく自由な住まいのイメージを、ル・コルビュジエは実現した。
「近代建築の5原則」とは、新しい建築の可能性を考え、住環境の改善をめざし、近代建築を構成する要素だ。
「caca cube」はそれに変わる現代的な、既存の概念に囚われない外観・内観のつくり、またより高いデザイン性で〝明るく自由な住居〟を提案してる。