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ル・コルビュジエ設計の「ラ・ロッシュ邸」に現代住宅の原型を探しにいく。

日本でも最近、再注目されているル・コルビュジエが設計した住宅「ラ・ロッシュ邸」を、

パリ市内で見てきた。コルビュジエの「白の時代」の幕開けと言われる建物だが、

ここでは現代の住宅にも通じるものをたくさん見ることができた。

 

巨大な吹き抜けの中の立体的な景色がエキサイティング!

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「ラ・ロッシュ邸」の特徴と言えるのが、エントランスを入るとすぐに広がる巨大な吹き抜けだ。

一般住宅では吹き抜けを下から見上げたときに見えるのは天井と、あれば天窓。そしてせいぜい、2階の手すりくらいではないかと思う。それでも、吹き抜けのある家というだけで開放感があり、広々とした感じがするものだが、ロッシュ邸はそのスケールが大きい。

吹き抜けに階段の踊り場がバルコニーのように飛び出していたり、通路がかなり長く見えていたりして、なんだか吹き抜けというより外からいくつかの建物を見ているような感じがする。

考えてみれば、現在、日本のあちこちにあるテナントビルなどもこういう造りになっているようにも思う。階下から見上げた時に、開放感はありながら、階上の様子や、その移動空間が垣間見えることによって、その空間に広がりが出るし、見ていて楽しいのだ。しかし、これはテナントビルではなく、個人の住宅だと考えると、かなり斬新だと言える。

 

アールに沿ったスロープが印象的なギャラリー

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この家の中で、もっとも有名で、ル・コルビュジエの作品集などにもよく載っているのが、このギャラリースペースだ。

高い位置に水平連続窓があり、天窓のように上から光が降り注ぐこの部屋は、壁がアール状になっている。

そんな変則的な形の部屋に、その形を際立たせるかのようにアール状のスロープが設置されているのだ。

部屋の中央には、コルビュジエのデザインによる独特なスタイルのテーブルが作りつけられており、その部分だけ床も黒いタイル貼りになっていて、まるでそこからテーブルが生えてきたような一体感をもたせてある。

それほど広い部屋ではないのだが、明るさと天井の高さ、そしてスロープがもたらす空間の連続性などから、実際以上に広々とした印象を受け、壁面にディスプレイされた絵画もじつに映えている。

 

奥まったキッチンにも、天窓から光が射しこむ

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サヴォア邸に比べると、ややこじんまりした感のあるロッシュ邸は、そのコンパクトさゆえに、一般住宅にも通じるアイデアが数多く見受けられる。

とくに、ギャラリーにおける高い位置の水平連続窓や、いちばん奥まったところにあるキッチンの天窓などは、casaシリーズでも見受けられる採光の工夫として興味深いものがあった。吹き抜けを使った、空間の広がりの演出なども、それほど広さを望めない日本の一般住宅にこそ、取り入れられそうなアイデアに満ちていた。

 

「ラ・ロッシュ邸」は、管理もしっかりされていて古びた感じがまったくしなかった。

そして、どこを見ても、「どこかで見たような」と感じるあたり、いかに現代の建物がル・コルビュジエに学び、ときには模してきたかということがわかる。

没後50年が過ぎた今でも、現代に通じる建築物を数多く残したル・コルビュジエの偉大さを改めて感じたのだった。