現代メキシコ建築の雄、リカルド・レゴレッタが手掛けた「カミノ・レアルホテル」
メキシコシティ生まれの建築家、リカルド・レゴレッタ。ルイス・バラガンやフェリックス・キャンデラ以降の「メキシコの巨匠」として、メキシコ建築を知る上で不可欠な人物である。そんな彼が1968年に手掛けたのは「カミノ・レアルホテル」だ。「高松宮殿下記念世界文化賞」を受賞し、彼の存在を一気に世界的なものにした、その建築とはいかに?早速詳しく見ていこう。
建築家 リカルド・レゴレッタとは
メキシコシティに生まれ、ルイス・バラガンやフェリックス・キャンデラ以降の「メキシコの巨匠」と言うものも多い「リカルド・レゴレッタ」。これまで手掛けた作品数は約200作品以上だ。当時のモダニズムの美学だけでなくメキシコの風土を映した建物の作りが印象的で、その設計構造と建築の力強さで人々を魅了している。
特徴は「現代的感覚」×「メキシコ伝統文化」
メキシコで生まれ育ったレゴレッタだからこそ、深く理解がある「地域的な特色」。そしてその現代的な解釈が建築デザインに反映されている様は、実に美しい。
彼は、空間に斬新なオブジェや格子などの「現代的感覚」を、メキシコの伝統文化に溶け込ませる。
それはダイナミックな色彩表現で建築物に投影され、原色で大胆に塗り分けられた壁と、自然光を取り入れた設計が彼独自の世界観として現れている。
高松宮殿下記念世界文化賞「カミノ・レアルホテル」
リカルド・レゴレッタの代表作と言っても過言でない「カミノ・レアルホテル」は、レゴレッタが複数設計を担当した「カミノ・レアル・ホテルチェーン」の第1作目である。
1968年にメキシコシティに建てられたこの作品が後に「高松宮殿下記念世界文化賞」を受賞し、彼の存在は一気に国際的に有名になった。
当時勢いのあったモダニズム建築美学だけに留まらず、現地の文化「土着性」を反映し「現代メキシコ建築」を創り上げた事で話題となり、後にその精神を受け継いだ建築は、中南米・米国南部・中東などに広がっている。
鮮やかな色彩が印象的な建築物
メキシコでは馴染み深い、ピンク色の色彩。カラフルなカラーを起用しながら、現代的な建築をデザインする。
ピンクの格子とイエローの壁、真っ青な空のコントラストが清々しく、40年も前に建てたものとは思えないほど「最先端」な雰囲気が漂っている。
ホテル内は20世紀の貴重な芸術作品がズラリと並ぶ
ロビーに入ると、アレキサンダー・カルダーの鋼の彫刻、パティオにはイサムノグチによる「永遠の動きの噴水」が我々を迎え入れる。このほかにも、カミノ・レアルホテル敷地内には、芸術作品の数々が贅沢にならんでいる。
カミノ・レアル・ホテルのマークと金色の絵画は、彫刻家・画家 マティアス・ゲーリッツにmよって手掛けられたもの。宿泊施設の枠を超え、芸術世界をも堪能できる空間は、プレミアムなひとときを堪能できるに違いない。
ゴージャスな雰囲気のブルーラウンジ
青い壁で囲まれた「ブルーラウンジ」。天井から降り注ぐ光を浴び、ラグジュアリーな空間が広がる。
ブルーラウンジでは、著名家具の数々も見逃せない。モダニズム建築の代表的な建築家「ミース・ファン・デル・ローエ」のバルセロナチェアや、バウハウスの家具の代表「マルセル・ブロイヤー」のヴァシリーなど、「これでもか」と言うほどに名だたる家具が並び、まさに圧巻である。
メキシコらしい風土と現代建築、そして数々の芸術作品が詰まったプレミアムな施設
カミノ・レアルホテルは、ホテルらしいゴージャスな雰囲気もあるが、リカルド・レゴレッタらしいデザインと、贅沢な芸術作品、家具、インテイリアがうまく溶け込む。
まさにルイス・バラガンのコンセプトが丁寧に受け継がれながらも、現代的な合理性と合致した「高度な建築」となっていた。
カミノ・レアルホテル – Camino Real Polanco
電話 : +52 55 5263 8888
URL : http://www.caminoreal.com
住所 : Calz. Gral. Mariano Escobedo 700, Anzures, 11590 Ciudad de México, CDMX, Mexico