「家族もお客様もコミュニケーションが取れる家」町家をイメージしたモデルハウス!!

日本の歴史の積み重ねと、伝統を感じる街並みが魅力の京都。

そんな京都の町家をコンセプトに作られたモデルハウスについて、マキハウス会長の眞木健一氏に前回に引き続き、限られた敷地の中で快適な生活を送るための工夫と、その〝ワケ〟についてお話を伺った。

 

【眞木健一】1967年福岡県生まれ。地元の高校を卒業後、アメリカの大学に留学。その後、シカゴ、ロサンゼルス、ニューヨークの住宅街に接したことが、その後の家づくりの原点となる。23歳で独立。28歳の時、不動産部門を縮小して、注文住宅事業を拡大する。33歳で事務所をインテリア・家具のショップが集まる「BiVi福岡」へ移転。また、地元の人とワークショップを重ね「伊都安蔵里(いとあぐり)」を設立。「旧福寿醤油」の昭和初期の建物を補修復元改修リノベーションし、地元野菜の販売所に。20代前半から工務店の仕事に取り組み、そして世界の住宅の性能を学び。日本の匠たちの職人技を大切に守りながら、「遺す家」を作ろうと突き進んでいる。2016年2月に『More Better Life 豊かに暮らすということ』(書肆侃侃房)を出版した。著書は他に『House-Designing Book 家づくりの本』(書肆侃侃房)、『新築を超える中古マンションリフォーム』(書肆侃侃房)、『住宅革命』(WAVE出版)。

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ー広いキッチンもインパクトがありますね。

はい、4,8メートルあります。通常の場合お客さん来たらどこにお招きすると思いますか?

ーそうですね、リビング・ダイニングでしょうか?

通常のリビング・ダイニングって、対面式の4人掛けのテーブルがあって、3人掛けのソファがあるとおもあると思うのですがどこにお客様をお通しますか?

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ーソファでしょうか?

それが、なかなか3人掛けのソファにずっとは、なかなか座らないんです。(笑)

一家族、二家族招いたときに、奥様方ならキッチンでワイワイやるし、ダイニングに集まります。キッチンが狭いと一人が立ってしまうと、後の方たちがお手伝いをするときに居場所がなく邪魔になってしまします。みんなでワイワイできて、みんなで食事が楽しめるような空間を作りたかったので4.8メートルのキッチンを設けました。

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ーお客さんも、住んでる人もコミュニケーションが取れる、そんな家にされたかったのですね。

はい。家族もお客様もコミュニケーションがとれる家を考えました。

奥様はキッチンに立ち、ご主人はソファに寝転んでTVを見る、子供達は別の場所で勉強している。一つのフロアにいるだけで皆やってることはバラバラ。それを一つにするためにのはどうしたらいいかなと考え、このキッチンを作ったわけです。

家族のコミュニケーションを最大化するということと、お客様が来たときにどう楽しんでいただくかを考え、機能を分けました。

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ーリビングは一見するともうひとつのベットルームのようにみえますね。

リビングは最適化を考えて造りました。ダイニングの横にあった方が使い勝手がいいかなと。

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ーリビングは逆にTVをみたりゲームをする空間としては、少し狭い方が居心地のいい空間になるんじゃないかなと個人的に感じました。

平面だけ見たら変わった間取りにみえますが、暮らしをイメージをすると「なるほどな」と納得の間取りになっています。

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ー町家のような細く・狭い敷地だからこそ、表現しやすかったということでしょうか?制限されてくと、コンセプトを明確にしていかないといけない。すっぱりと削るところを削ったところが素敵だなと。

敷地が狭いということは、制限があるということです。制限がある中で考えていくと一旦常識を疑わないといけないんです。LDKは広ければ広いほどいい、でも敷地が限られてるわけだから、LDKをとにかく広くするという考えをゼロにし、一から構築していくしかないわけです。

なので、リビングはコンパクトにシンプル、ダイニングはとても贅沢に造りました。

ーありがとうございます。

 

モデルハウス「町家」は風情だけでなく、限られた敷地だからこそ、そこに暮らす人が生活しやすい生活動線と、そこに集まる人々がコミュニケーションを楽しむための工夫がなされている。

その思いは〝経年美化〟という言葉が、とてもふさわしいように感じた。