煉瓦倉庫という弘前の原風景を残す、建築家・田根剛が手がけた「弘前れんが倉庫美術館」が開館。
新型コロナウイルス感染症の予防・拡大防止のため開館が延期されていた青森県弘前市の「弘前れんが倉庫美術館」が7月11日(土)にグランドオープン。
国内で初めてシードル(リンゴの発泡酒)が大々的に生産された「吉野町煉瓦倉庫」。弘前市民にとって大切なその煉瓦倉庫という原風景を守り、歴史を未来へつなげるため、ミュージアム棟の大屋根を支える骨組みの補強設計とカフェ・ショップ棟の正面の既存壁を残しながらの木質構造設計を実施た。建てて終わりではない、地域のために何が大切なのかを考え、末永く貢献することを追求してする。
今回の改修・整備とともにその後15年間にわたり、スターツコーポレーション株式会社が維持管理・運営を行う。
建築家・田根剛が手がけた「弘前れんが倉庫美術館」
建築設計はエストニア国立博物館などを手掛けた田根剛。煉瓦建造物の耐震性能を高めつつ、今あるものを可能な限り残した「記憶の継承」と「風景の再生」をコンセプトにもつ建築空間では、その魅力を最大限に生かした国内外の先進的なアートや、弘前そして東北地域の歴史・文化と向き合う同時代の作品も収集し展示する。
またミュージアム棟の隣には、ミュージアムカフェとミュージアムショップを有するカフェ・ショップ棟も設置される。7基のタンクを設置した工房で作ったシードルを販売する「A-FACTORY 弘前吉野町シードル工房」と青森県産の食材を使用した多国籍料理を提供するカフェが出店しており、美術館オリジナルのグッズをはじめ、国内外のアーティストや地元弘前ならではの商品を販売するショップも併設。2つの建物は、煉瓦や「シードル・ゴールド」カラーの屋根により一体感を生み出し、食という日常とアートという非日常をつなぎ、ここでしか味わえない体験を与えてくれます。
”記憶の継承”と”風景の再生”をコンセプトに持つ美術館
「創ること」「見せること」「収蔵して歴史に残すこと」をテーマとしたサイト・スペシフィック(場所性)を実現。
建築や地域に合わせたコミッション・ワーク(新たに作品を制作すること)を重視し、完成した作品を展示。さらに収蔵するという一連の流れによって、弘前ならではのコレクションを形成します。
同時に異なる展示のリズムと柔軟な空間の使い方を示唆するタイム・スペシフィック(時間性)を両立。
煉瓦倉庫の建物の可能性を最大限に生かすために、空間は自由かつ柔軟に運用。またそれぞれの作品は、短期間~長期間の異なるリズムで展示し、年間プログラムを構成します。
煉瓦のように丁寧に積み上げた、歴史と食を味わう
カフェ・ショップ棟は、入った瞬間に木造であることを忘れさせる2階吹き抜けの大空間と、実際に稼働している大きな7つのシードルタンクが見どころ。100年前の姿をそのまま残した入口正面の壁から歴史と趣を感じながら、製造されたばかりのシードルや地元の食材を使った他国籍料理を味わえる。
人々が集う、コミュニティースペース
展覧会を開催する大小5つの展示室を備えたエリアと有料の貸スタジオ、弘前市民が使用可能なワークラウンジやライブラリースペース、市民による作品展示スペース「市民ギャラリー」といった地域のコミュニティスペースを備える。アートやデザインを学べる美術館と公民館としても機能を併せ持つ、地域に根差した文化創造を促す施設となる。
弘前れんが倉庫美術館
開館時間:9:00~17:00
休館日:火曜日
入館料:¥1,300(学生¥900)
URL : https://www.hirosaki-moca.jp
住所:〒036-8188 青森県弘前市大字吉野町2−1 旧吉井酒造煉瓦倉庫内