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TOTOギャラリー・間で国内外で活躍する建築家・坂茂の進行中のプロジェクトを追う展覧会が開催中。

現在、東京・乃木坂にあるTOTOギャラリー・間で国内外で活躍し、2014年には建築分野の国際的な賞であるプリツカー賞を受賞した建築家・坂茂の個展「坂茂:プロジェクツ・イン・プログレス」が開催されている。

坂茂は「ポンピドー・センター – メス」(2010年/フランス)や「大分県立美術館 OPAM」(2014年/日本)などが有名だが、容器や巻芯などとして使われる紙管を使った建築や災害時の仮設建築などでも功績を挙げている。東日本大震災の被災地で活用された「紙の建築」では芸術選奨文部科学大臣賞を受賞している。

国内外で進行中のプロジェクトを紹介

パリ郊外のラ・セーヌ・ミュジカルの模型

坂茂は2003年にポンピドー・センター – メスのコンペを勝ち取ったことをきっかけにフランス・パリにも事務所を開設し、東京とパリ、ニューヨークの事務所を行き来しながら国内外のビッグプロジェクトを手がけている。

パリの西側の郊外のセーヌ川に浮かぶセガン島に4月にオープンしたばかりの音楽ホールと音楽学校の複合施設「ラ・セーヌ・ミュジカル」は、大きな模型とモックアップ(実物大や実物に即した模型)、映像とその建築の特徴が良くわかるプレゼンテーションをしている。木の構造体でできた特徴的な球体の中は音楽ホールがあり、ホワイエなどは周囲のランドスケープと溶け込むデザインとなっている。

模型と実物を比較すると坂茂の意図を感じ取ることができるだろう。

多くは進行中、もしくは竣工したばかりの最近のプロジェクトばかりで、坂茂らしく木を使った構造と意匠が相乗的にデザインされた作品が多い。

2018年にオープン予定の台南美術館

幾何学模様に穴が空いたパネルモジュールの大きな屋根が特徴的なのはお隣台湾の南部の都市、台南に2018年オープン予定の台南美術館。様々な公共の機能を積木のように積み重ねて大屋根で覆うことにより、柔らかく周囲と関係性を保ちながら、亜熱帯の台湾の気候において快適な環境を作り出す効果も得ている。

ネパール復興住宅プロジェクト

坂茂のプロジェクトは大きな公共施設だけに限らず、彼の活動の中で重要な災害時の復興支援住宅などを現在でも手がけている。2015年のネパール地震でも復興住宅を計画し、現地の技術や素材を使いながら耐震基準の高い日本でも耐えうる住宅となっている。

スケールの大きなモックアップがおもしろい

今回の展覧会の見所はスケールの大きいモックアップだろう。坂茂のデザインを建築として成立せるためのモックアップは、1/10や実物大のスケールで迫力がある。家具のような精度で作られた木のモックアップは、それ単体でも幾何学的な美しさがある。

ファサードが特徴的なラ・セーヌ・ミュジカルは、音楽ホール内の壁面のモックアップからもわかる通り、内部のデザインもおもしろい。孔の空いた木製の壁は吸音材として機能しつつも柔らかな印象を与えるデザインとなっている。こういったディテールは図面やCGだけでは検証し切れないため、こういったモックアップが必要。デザインすることよりもそれを実現することの方が難しいと言われるが、実際に坂茂の仕事がわかるモックアップだ。

 

今回の坂茂の展覧会は、最新作を観ることができるだけでなく、多くの模型やスケールの大きなモックアップによって彼の設計と実施のプロセスを垣間見ることができる。紙管を使った建築や災害時の仮設建築も斬新だったが、ポンピドー・センター – メスや大分県立美術館 OPAMを経てさらに建築の可能性が広がる様子が伺えた。

TOTOギャラリー・間

開館時間 : 11:00~18:00
休館日 : 月曜日
電話 : 03-3402-1010
URL : http://www.toto.co.jp/gallerma/
住所 : 東京都港区南青山1丁目24−3 TOTO乃木坂ビル3F

#casa 編集部

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