「ベルリンのモダニズム集合住宅群」世界遺産の建築に、住んで実感するブルーノ・タウトの工夫。2017.06.04Sun

Photo : Gianni Plescia

建築ファンならば、一度は訪れたい世界遺産が、ドイツの首都ベルリンにある。

市内6か所に点在する「ベルリンのモダニズム集合住宅群」は、いまも中に人々が住んでいる貴重な例だ。建設から100年ちかく経ったいまでも賃貸、分譲ともに高い人気を集めている。 時を経ても色褪せることのないその魅力を、実際に泊まって体験できるのが「タウテス・ハイム(タウトの家)」だ。

機能性と合理性を追求して生まれた美しさは、いまも抜群にモダンだ。

Photo : Gianni Plescia

ブルーノ・タウトが手がけた集合住宅の一角にある「タウテス・ハイム」は、当時の建築をそのままに壁の色や備え付けの家具などの内装はもちろん、庭に植えられた木々にいたるまで1929年当時のままに再現した一軒家。 曽祖父がタウトと共に働いていたという庭園建築家カトリン・レスラーさんとデザイナーのベン・ブシュフェルトさん夫妻が、3年にわたる入念なリサーチと修復を経て完成させた、まさに「生ける建築/デザイン史」だ。

緑あふれる庭を通り、入り口から足を踏み入れると、まず明るいキッチンが目に入る。

200㎡の庭に面した大きな窓の前には、折りたたみ収納式のテーブルと椅子が。

約10㎡のキッチンを広く、かつ作業しやすいようにと考案されたものだ。

目を奪われる壁の配色は、当時のまま。鮮やかな色合いは「幸せのしるし」。

Photo : Gianni Plescia

奥のリビングの壁は、落ち着いた抹茶グリーン。

フローリングの煉瓦色、濃い緑の陶製タイルでできた石炭暖房と呼応して、ゆったりとくつろげる空間作りに一役買っている。

廊下はクリームベージュ、グレーの階段に、朱赤を効かせた手すり。

独特の色彩使いで知られたブルーノ・タウトは、集合住宅が画一的にならないよう、窓枠やドアの色の配置で個々の建築に変化をつけていたが、その工夫が住宅内部にも生かされていたことがよくわかる。

 

タウト曰く、色彩は「新しい幸せのしるし」。

心を踊らせ、暮らしが楽しくなるカラーコンセプトだ。

家具をグラフィカルなアクセントに。

Photo : Gianni Plescia

2階の寝室の壁は、深い青色。

大きな作り付けの棚が、グラフィカルなアクセントとなっている。

 

100年も前にこんな鮮やかな色が使われていたのか?と驚いてしまうが、当時塗料を提供していたメーカーをスポンサーにつけ、オリジナルの色を厳密に再現している。

 

色彩もさることながら無駄のない間取りや収納の工夫もすばらしい。

労働者階級であっても、トイレ・バス付きの清潔で豊かな暮らしを手に入れられるようにという、タウトの心遣いが伝わってくる。

広々とした共有緑地が実現する、都会のユートピア。

Photo : Gianni Plescia

タウトは、20世紀初頭、産業化にともなう人口増加による深刻な住宅不足を解消するために、ベルリン市内に数々の労働者向けの、安価な集合住宅を計画した。

この「タウテス・ハイム」は、37haに約2000戸が集まる「馬蹄型集合住宅群」にある。中心部にあった池を生かして囲むように馬蹄型に作られた集合住宅から、放射状に連なる庭付きの戸建て。

2階建てで住居部分の総面積は65m2とコンパクトだが、庭が200m2と大きく取られ、同じ作りの建物が連なっているために、緑地面積はさらに広く感じられる。

1戸ずつの広さはそれほどでなくても、広々とした緑に囲まれることで心が豊かになる、 自給自足もできるように、庭にはりんごやさくらんぼなどの食べられる植物を植えるというのも、タウトの考えのひとつだった。

 

ここで採れたりんごを食べ、大きな窓から通る光、空気の流れを感じる。 ゆったりと気持ちが休まり、安らかな睡眠が得られる壁の色ー 寝起きしてこそわかる、偉大な建築家が目指したユートピアの姿を、ぜひ実感してみたい。

Tautes Heim – タウテス・ハイム(タウトの家)

URL : http://www.tautes-heim.de
TEL : 030-60107193
E-mail : mail@tautshome.com
価格(4〜10月) : 2名宿泊の場合 日〜木:150€/泊 木〜土:200€/泊 (3泊より〜、最終日のクリーニング代金 50€)

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