国土交通省が「家賃保証」「マンション一括借り上げ(サブリース)」の説明を義務化する制度改正。
皆さんは、「マンション一括借り上げ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
また別の名称では「サブ・リース」といいいます。昔の言葉で言うと「又貸し」というとピンとくるでしょうか?
物件を一括賃借し、それを分割またはそのままの規模で第三者に転貸する事業形態です。
不動産会社が大家・地主(オーナー)から土地・建物・付帯施設をサブリースで借り上げ、運営・管理を一気に引き受ける賃貸システムです。
「マンション一括借り上げ(サブ・リース)」が起こす問題。
実は、集合住宅・マンション経営にこんな問題・トラブルが今までにありました。
《職場などに、「御社のお勤めの皆さまにご紹介している良い節税方法があります。マンション経営をしませんか。」といった営業の電話がかかってきた。「全室を一括で刈り上げる」「家賃は保証する」と業者から誘われ、借金までしてアパートを建てたものの、数年後に家賃を減額された…。最初の家賃の金額で利回りを予測していたのに、これでは話がちがう…。》
そんな苦情が相次いでいることから、集合住宅・マンション経営の一形態である、一括借り上げ(サブ・リース)に対して国交省のメスが入りました。
マンション一括借り上げはどこが問題なの?
マンション一括借り上げについて最大の問題点は、30年や35年といった長期間の借り上げ(サブ・リース)の約束はしてくれるけど、賃料の金額は保証してくれないという点です。
業者は大家・地主(オーナー)を対象にアパートを建るよう営業をします。大家・地主(オーナー)の方の中には不動産経営などしたこともない方がおおいので、数千万・億単位の借金に躊躇します。その不安を解消するために、業者が30年・35年一括借り上げ(サブ・リース)を提案します。
大手の住宅メーカーの中でもこの手の一括借り上げ(サブ・リース)を行っている企業もあり、大手の業者が30年、ないしは35年家賃を保証してくれるので、老後は大丈夫。と思いたいところですが、一見、安心して安定したマンション経営を行えるかのようにも見える一括借り上げ(サブ・リース)。しかし、この契約はいつでも解除できるのです。そして、いつでも家賃を下げることができるのです。
最初は10年、10年目以降は5年後毎。ある住宅メーカーに関しては、2年毎に賃料の更新がやってきます。「30年や35年一括で借り上げるとは約束したけど同じ金額を払い続けるとは約束していない、更新のタイミングで支払う賃料引き下げるからね〜」となりうる場合があるのです。これをちゃんと理解せず、行き詰まってしまうマンションオーナーもいるという残念な話です。
具体的にはどんな制度が変わるの?
さて、ではいったい具体的にどんな制度改正がされるのでしょうか。
国土交通省は8月12日、「賃貸住宅管理業者登録規定」と「賃貸住宅管理業務処理準則」の2つを改正しました。
・サブリース事業において、貸し主へ説明等すべき需要事項として、借賃・将来の借賃変動に係る条件を明記。サブリース事業者から基幹事務の一括再委託を受ける登録業者に対し、貸し主への重要事項の説明や契約成立時の書面交付・管理事務報告を義務化する。
・借賃(空室時等に異なる借賃都する場合は、その内容も含む)及び将来の借賃の変動に係る条件に関する事項。
といった文言が追加されています。
※詳しくは国土交通省のHP、「賃貸住宅管理業者登録制度」をご覧ください。
簡単にまとめると、8月12日より「今後、家賃が変動する際は(サブ・リース)、将来の借賃も変動することと、その条件をあらかじめ記すことが義務ずけられました」という内容です。
サブ・リースの制度が改正されたことにより、今までの業者と、大家・オーナー(地主)間でのトラブルが少なくなり、双方にとって気持ちのよい契約が交わせるのではないでしょうか。また、利回り等、確実性の高い数値を計算できるのも嬉しいですね。今後もこの制度が住宅業界に、どんな影響を与えるのか注目です。
またそれと同時に、自身が運営でき、時代の流れから運営が難しくなっている集合住宅ではなく、「casita」のような、戸建賃貸にますます注目が集まりそうです。