大胆さと静寂が共存する神秘的な美しさ「ロンシャンの礼拝堂」2016.07.31Sun

建築文化に大きな影響を与えたル・コルビジェ。

その傑作と言われる作品達の幅は広い。

「サヴォア邸」と並んで知っておきたい、見ておきたい建物がもう一つある。

ル・コルビュジエ後期の傑作「ロンシャンの礼拝堂」だ。(※正式名はノートルダム・デュ・オー礼拝堂)

 

静寂とダイナミックさを併せ持つ外観

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パリやリヨンからTGVで2時間半から3時間でブサンソン駅、そこからTERで30分程でベルフォール駅、さらにTERで15分で最寄り駅のロンシャン駅に到着できる。

ロンシャンの駅から礼拝堂までは徒歩30分ほどだが、坂道のため少し疲れるので、ベルフォール駅からタクシーで行くのがオススメかもしれない。

チケット・オフィスはレンゾ・ピアノの設計で周囲の景観を損なわないように丘に半分埋まったかたちになっている。中には模型が展示してあり、チケットオフィスを出てさらに坂道を登って行くと、シェル構造のうねった屋根を幾つかの曲面の外壁の塊が支えている建物に出会う。

礼拝堂だ。

ダイナミックさがあるがその佇まいは周辺環境との調和により静寂さが感じられる。新しさと古さ、自然と人工、相反するものが同居している。丘の上に佇む姿は神々しく、どこを見ても絵になるファサードだ。

 

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屋根のうねりや塔、採光のためのランダムに開けられた開口部はコルビュジエの抽象絵画にも描かれている要素のように見える。曲面の壁と樋もモダニズムともポストモダンとも違うように思える。

塔になっている部分や外壁は有機的な形態となっているが、ところどころに表れる幾何学が神の作ったものと人工物の掛け合わせたもののように思わせる。

外部にある祭壇は、階段などの要素が多いが静寂さを纏っている。バラバラな形や要素が配置されているのに全体としてデザインされているのはル・コルビュジエだからこそできることなのだろう。

自然とも違和感なく調和している。

静寂の中にある美しい光の窓。

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中に入るとひんやりしていて静寂に包まれる。

屋根と壁の間にはスリットが開いていているため過剰な圧迫感はを和らげ、適度な明るさを作っている。
中に入った瞬間にランダムに開いた開口部からは外光がカラフルなステンドグラスを通じて拡散され、神秘的な空間を演出する静かな空間だからこそこの神秘的な光が空間を演出する。

中には小さい礼拝堂が2つ備えられている。
採光のための塔から柔らかい光が入り、聖母マリアの像が祭壇後ろの開口部に供えられている。
もう一つの小さい礼拝堂は壁が赤く塗られていてそこだけを赤く照らしている。
祭壇側から反対側を見と、シェル状の屋根が場所によって曲線が変わっていることがわかる。

修道院もル・コルビュジエのデザイン。

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礼拝堂の手前の小さな修道院もル・コルビュジエが設計した。礼拝堂への視線を遮らず丘の傾斜に埋まるように控え目に建っている。中に入って見学することはできないが、作品としてでけではなく、住居としても快適そうだ。

「ロンシャンの礼拝堂」はパリやリヨンなど主要都市からも遠く辺鄙な場所にあるが、訪れる価値は十分ある建築だ。「サヴォア邸」などのような白の時代の建築とは全く違う、モダニズムともポストモダンとも言えないこの建築に、建築だけに限らず、アートやデザインが好きな方、または興味のある方の好奇心を刺激することだろう。

 

「ロンシャンの礼拝堂」は他のどんな建築とも異なる建築でどこを撮っても〝一枚の絵になる″絵画のような作品だ。ル・コルビュジエを知らない人でも感動することは間違いない。機会があれば是非とも訪れてほしい建築だ。