家賃は上げられる時代に変わった!戸建賃貸オーナーが賃上げを成功させる条件とは?
物価の上昇、賃金の増加、そして住宅購入コストの高騰。複数の要因が重なり合うなかで、日本の賃貸市場がかつてない変化を見せています。「家賃は下げてでも入居者を確保するもの」という旧来の常識が、いま静かに塗り替えられようとしています。アットホームと三井住友トラスト基礎研究所が共同で発表したマンション賃料インデックスによると、2025年第4四半期の東京23区の賃料は前年同期比で5.3%上昇し、13四半期連続で過去最高値を更新しています。特にファミリータイプでは前年同期比12.4%という大幅な上昇となっています。こうした家賃上昇の波は、戸建賃貸を運営するオーナーにとってもチャンスの到来を意味します。
なぜ今、家賃は上がり続けているのか

賃貸市場における家賃上昇は、供給と需要の両面から引き起こされています。まず供給面では、建築費や人件費の上昇が新築賃貸住宅のコストを押し上げており、オーナーが採算を維持するために家賃を引き上げざるを得ない状況が続いています。建築費に加えて物件の維持管理費が高騰してコストアップが大きく、収益が圧迫されて家賃を値上げせざるを得ない状況となっています。一方、需要面では住宅価格の高騰が大きく影響しています。不動産価格の上昇によりマイホーム購入をあきらめ賃貸を選ぶ人が増えていることや、企業の勤務形態がリモートワークから出社に移行し都心回帰が起こっていることが挙げられ、その結果都市部でファミリー向けの賃貸物件が不足し、競争が激しくなっています。需要が供給を上回る状態が続くなかで、家賃は自然と押し上げられています。
ファミリー向け賃貸が最も恩恵を受けている

今回の家賃上昇トレンドで特に顕著なのが、ファミリー向け賃貸住宅の家賃上昇です。高品質なファミリー世帯向けの賃貸住宅は供給が少なく、家賃上昇の要因となっています。都市部のファミリーは共働きが多く経済的には余裕があるため、広いLDKや最新の設備・仕様など付加価値のある物件が多く供給されるようになり、家賃の上昇を牽引しています。この状況は、ファミリー層を主な入居対象とする戸建賃貸住宅にとって追い風そのものです。ファミリー向け賃貸は供給不足と、購入から賃貸へのシフトも重なり大幅に上昇しており、家賃上昇の傾向は2025年以降も当面続くと考えられ、今のところ家賃が下がる要素は見当たりません。ファミリー層向けに広い居住空間と高品質な住環境を提供できる戸建賃貸は、この需給のミスマッチを埋める存在として市場での競争力を高めています。
「家賃を上げても選ばれる」物件の共通点

家賃が全体的に上昇しているからといって、すべての物件が等しく値上げできるわけではありません。昨今の入居者は今まで以上に物件を厳選する傾向が強まっています。あらゆる物価が上昇しているため、固定費である家賃を抑えたいという意識が強かったり、家賃に見合う価値のある部屋か見定めたりする、シビアな目線の入居者が増えています。つまり、家賃を上げても入居者に選ばれるためには「その家賃を払う価値がある」と感じてもらえる物件であることが前提になります。入居者が求めているのは、広いLDK、充実した収納、高い断熱・気密性能による光熱費の抑制、駐車スペースの確保といった要素です。これらは戸建賃貸住宅が構造的に備えやすい特性であり、マンションや単身者向けアパートでは代替しにくい価値を提供できます。品質と住環境の高さが、賃上げへの納得感を生む条件となります。
長期入居がオーナーの収益を守る

家賃を上げることと同じくらい重要なのが、入居者に長く住み続けてもらうことです。頻繁な入退去は空室期間の発生や原状回復コストの増加を招き、せっかく家賃を引き上げても収益が目減りしてしまいます。戸建賃貸住宅はこの点でも優位性を発揮します。ファミリー層は子どもの学校区や近隣環境を重視して住まいを選ぶため、一度入居すると数年単位で住み続けるケースが多く、入居期間が長くなりやすい傾向があります。長く住んでもらえれば、入退去のたびに発生するコストが抑えられ、安定した家賃収入を積み重ねることができます。また、長期入居者との良好な関係を築くことで、更新時の家賃改定交渉もスムーズに進みやすくなります。賃上げの成功とは、一度値上げすることではなく、上げた家賃水準を維持し続けることです。
賃上げを「成功」させるための考え方

家賃を上げるタイミングとしては、新規募集時か契約更新時のいずれかが現実的な選択肢です。新規募集時は周辺相場の上昇を根拠に設定家賃を見直すことができ、特に現在の市場環境では強気の設定をしやすい状況です。一方、既存入居者との更新時に値上げ交渉をする場合は、物件の維持管理に丁寧に取り組んできた実績や、設備のアップグレードなど具体的な付加価値の提示が説得力を生みます。いずれの場合においても、入居者目線に立った「なぜこの家賃なのか」の説明ができることが、トラブルを防ぎながら賃上げを実現するための基本です。家賃を上げること自体が目的ではなく、物件の価値を高め続けることが、結果として適正な家賃水準の維持につながります。
市場の変化を追い風として活かす
家賃上昇の波は、準備をしてきたオーナーには恩恵をもたらし、準備のないオーナーには置いてきぼりをくらわせます。ファミリー層に選ばれる高品質な住環境を持つ戸建賃貸住宅は、この賃上げ時代において最も追い風を受けやすいポジションにあります。市場の変化を追い風として活かすためにも、自分の物件がどんな価値を提供できているかを、今一度見つめ直してみてください。