親から受け継いだ土地を活かす!相続税対策に戸建賃貸が選ばれる理由

「親が亡くなって土地を相続したけれど、どうすればいいかわからない」「実家の土地が空いたまま固定資産税だけ払い続けている」――こうした声は、相続を経験した多くの方から聞かれます。土地という財産は持っているだけでコストが発生し、活用しなければ相続税の負担だけが重くのしかかります。一方で、2024年4月からは相続登記が義務化され、土地を相続した事実を放置することも難しくなりました。このタイミングで改めて注目されているのが、相続した土地に戸建賃貸住宅を建てて活用する方法です。遊休地を収益に変えながら、相続税対策としても機能するこの仕組みは、土地オーナーにとって検討する価値の高い選択肢です。本記事では、相続と土地活用の視点から、戸建賃貸住宅を選ぶ理由をわかりやすく解説します。

相続登記の義務化で、土地を「放置」できない時代に

2024年4月1日から相続登記が義務化され、不動産を相続した人は3年以内に登記を行わなければならなくなりました。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料が科される可能性があります。さらに、この義務は過去の相続にも適用され、2024年3月31日以前の相続については2027年3月31日までに登記が必要です。

この法改正の背景には、相続登記が行われないことで全国に「所有者不明土地」が急増している問題があります。所有者不明になる主な原因のひとつが相続登記の未了で、その割合は全体の66%にも及ぶとされ、社会問題にもなっています。こうした状況を受け、土地を相続した以上は名義変更を行い、その土地をどう扱うかを明確に決める必要が生じています。固定資産税を払いながらただ土地を保有し続けるという選択肢は、制度的にも経済的にも取りにくくなっているのです。

土地に建物を建てると相続税評価額が下がる仕組み

相続税対策において、土地活用が有効とされる最大の理由は「評価額を引き下げられる」点にあります。更地のまま保有している土地は「自用地」として路線価に基づいた評価額がそのまま課税対象になります。しかし、その土地に賃貸住宅を建てて他者に貸すと、「貸家建付地」として評価額が減額される仕組みがあります。

貸家建付地では、借地権割合や借家権割合、賃貸割合に応じて、自用地よりも相続税評価額が低くなります。借家権割合は全国一律で30%です。つまり、同じ土地でも賃貸住宅を建てて入居者がいる状態にするだけで、相続税の計算のベースとなる評価額を合法的に引き下げることができるのです。また、貸家建付地と小規模宅地等の特例を併用できると、相続税評価額がさらに低くなり、節税効果を高めることができます。

小規模宅地等の特例で評価額をさらに圧縮できる

貸家建付地として評価された後に活用できるのが「小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等)」です。貸家建付地は貸付事業用宅地として小規模宅地等の特例を使うことができ、200㎡まで土地の相続税評価額を50%減額することができます。

たとえば、路線価評価額2,800万円の土地(借地権割合60%)に戸建賃貸を建て、入居者がいる状態であれば、まず貸家建付地として評価額が約2,296万円に下がります。そこにさらに小規模宅地等の特例を適用すると、最終的な評価額は約1,148万円まで圧縮されます。更地のまま相続するのと比べると、相続税の課税対象となる評価額が大幅に変わることがわかります。なお、平成30年4月1日以降の相続については、亡くなる前3年以内に賃貸経営を始めた土地は小規模宅地等の特例の対象から除かれることになりました。早めに計画的に動くことが、この制度を最大限に活かすうえで重要なポイントとなります。

建物の固定資産税評価額も下がり、二重の節税効果

相続税対策として土地活用が有効な理由はもうひとつあります。建物そのものも相続財産となりますが、建物の相続税評価額は固定資産税評価額をもとに算出されます。そして、賃貸の用に供している建物は「貸家」として、固定資産税評価額からさらに30%が減額されます。つまり、土地と建物の両方で評価額が下がるという、二重の節税効果が期待できるのです。現金を持ったまま相続するよりも、不動産として保有・運用する方が相続税の面で有利になりやすいのはこのためです。建築費を借入で賄った場合は、その借入残高が債務控除として相続財産から差し引かれる点も、大きな節税要因となります。

戸建賃貸が相続土地の活用に向いている理由

不動産投資

相続した土地に賃貸住宅を建てる選択肢としては、アパートや賃貸マンションもありますが、土地の広さや形状によっては戸建賃貸住宅の方が現実的なケースが多くあります。まとまった広さが確保できない土地、細長い旗竿地、住宅街の中にある小規模な土地など、アパートを建てるには向かない条件でも、25坪程度から建築できる戸建賃貸住宅であれば対応できる場合があります。また、戸建賃貸はファミリー層を中心とした安定した賃貸需要があり、長期入居が見込めるため、相続税対策として建てた後の収益も計画しやすいです。節税のためだけに建てた物件が空室続きになっては意味がありません。入居率が安定しやすい戸建賃貸住宅は、対策と収益の両立を目指す土地オーナーにとって、実用的な選択肢と言えます。

相続前に動くことが、最も効果的な対策になる

相続税対策として土地活用を考える場合、最も大切なポイントは「相続が発生する前に動く」ことです。前述のとおり、相続開始前3年以内に始めた賃貸経営は小規模宅地等の特例の対象外となるため、節税効果を最大化するには早めに計画を立て、実際に賃貸経営をスタートさせておく必要があります。親が元気なうちに、所有する土地の評価額や活用の可能性を把握し、税理士や土地活用の専門家と相談しながら方針を決めることが重要です。「いつか考えよう」と思っているうちに相続が発生してしまうと、選択肢が一気に狭まることになります。土地を次の世代にとって「負の遺産」にしないために、今こそ活用の一歩を踏み出すタイミングかもしれません。