不動産投資における妙味は、どんなタイミングで生まれるのか?
不動産業界では「不動産を有効活用しよう!」という標語が使われることがしばしばある。どうしてこのような標語が多用されるのだろうか。それは、不動産を所有したことで苦労している人たちが多いからだ。では株式投資と比べて非効率的だといわれている不動産投資で利益を上げるには、どのような特徴を理解しておけばよいのだろうか。
老後2千万円問題がもたらした影響
老後2千万円問題が世間を騒がすようになってから、不動産会社には50代の会社員から「1億円くらいで投資用のマンションを購入したいんですが…」という相談が多くなったそうだ。定年間近の会社員にとっては、数年後にもらえる退職金を預金していても利息があまりつかないし、老後のことを考えると投資用にマンションを買っておきたいというのが共通した理由だ。またこのような会社員に限って、不動産投資を勧めるセミナーにも積極的に参加する傾向がある。
マンションに上乗せされる利益
しかしセミナーに参加するような行動は、不動産投資の基本を大きく外れているといえる。なぜなら不動産セミナーで勧められる投資用マンションは、あくまでも売り手の利益が上乗せされた商品だからだ。2~3%といった投資信託の販売手数料くらいの利益ならたいした影響はないが、セミナーで紹介される新築マンションには20%くらいの利益が上乗せされていることもある。不動産といえども商品のひとつなので、利益が上乗せされることは当然であるが、その商品を“投資用”として購入することは資産運用につながらないリスクがある。
この特徴を理解すべき
では素人の会社員は、不動産投資をしないほうがよいのだろうか。実は不動産投資はある特徴を理解していると、おいしい話に変わることがある。その特徴は、マンションというは販売価格よりも賃貸料のほうが変動が少ないということだ。不動産会社が公開している価格指数のマンスリーレポートを見ればよくわかるが、マンションは販売価格が大きく下がっても、賃貸料はあまり変わらない傾向があるのだ。不動産投資の妙味はここにあるといえる。中古マンションを安値で購入して、できるだけ高く貸す、これが不動産経営の基本的なやり方なのだ。
マンスリーレポートに目を向ける習慣をつける
マンションは価格が大きいといえども、取引はすべて相対取引で行われる。つまり交渉次第では、お買い得のマンションを手に入れられる可能性があるのだ。まずは中古マンションの価格指数と賃料指数の変動に気を配る習慣をつけてみよう。賃料指数が変わらないのに価格指数が大きく下がったときが、不動産投資を始めるタイミングなのだ。