ビジネス書作家木暮太一氏に訊く「人生100年時代にどう備えるか!?」

人生100年時代。誰もが見えない将来のことを心配し、不安に思っている。老後の資金もその不安要素の一つであり、このままではいけないと思いつつもリスキーのように思える投資など、手を出せずにいる人も多くいるだろう。

今回はビジネス書作家の木暮太一氏と梅村和利氏に、日本人の国民性から見た特長などを伺い、人が100年生きるこの時代に向けて今何をすべきか、考えてみる。

プロフィール

木暮太一(写真右)

1977年、千葉県生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、富士フイルム、サイバーエージェント、リクルートを経て独立。説明能力と言語化能力に定評があり、大学時代に自作した経済学の解説本が学内で爆発的にヒット。現在も経済学部の必読書としてロングセラーに。相手の目線に立った伝え方が「実務経験者ならでは」と各方面から高評を博し、現在では企業・団体向けに「説明力養成講座」を実施している。フジテレビ「とくダネ!」レギュラーコメンテーター、NHK「ニッポンのジレンマ」などメディア出演多数。『「自分の言葉」で人を動かす』『カイジ「命より重い!」お金の話』など著書多数、累計175万部。

梅村和利(写真左)

株式会社 theHOUSE 代表取締役。大学の経済学部を卒業後、税理士事務所やプラント関連の建設会社勤務などを経て、2004年、新栄クリエイトを創業。「本物の環境にやさしい家」を目指してブランド「the HOUSE」を立ち上げ、100棟を超える住宅の設計、建築、リノベーションを行う。また、戸建賃貸「casita」を開発し、そのコンセプトと住宅としての性能の高さが評価され、2012年より本格的に全国販売が開始される。

老後に向けて今、何をすべきか

平均寿命や平均余命がすごく伸びている今、最近では「人生100年」などとも言われている。梅村氏は、そんな昨今の状況を受け「以前と比べて、日本全体の社会構造を踏まえても、老後におけるリスク、コストが上がってきたと思う。年金も以前ほどは手厚くもらえるわけではなくなったし、医療費も値上がりする方向へ向かっている」と話す。

そして必要なものは、より将来のことを考えた投資の情報収集や老後の生活設計をより考える必要があると考えている。

木暮氏は、日本の給料形態に対して意見。日本の正社員のルールとして給料が上がりにくいルールになっていることから、「パフォーマンスを2倍出したら給料が2倍になる」と思われがちだが、これは大いなる勘違いだと警告としている。

正社員の中で給料を上げるのはかなり難しい。そこで解決策として、木暮氏は「自分の持っている資産をさらに増やしていくという投資の概念が必要になるのでは」と提案する。

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サラリーマンは住宅投資をしやすい

住宅の投資に取り組みやすい人とは、どのような人なのか。不動産投資で金融機関からお金を借りやすいのは、1位は公務員、2位は上場企業の社員などと、とサラリーマンが借りやすいことがわかる。会社に所属する企業人だからこそ、取り組みやすい立場であり、木暮氏はそこを十分に活用すべきではと述べている。

そして日本の特徴といえば、資産形成のスタートが遅いということ。老後のお金、資産形成というのは、早めに取り組んだほうが有利なのに、日本人はそのスタートが遅いという傾向も見受けられる。

だが、投資への不安は未経験からくるものがほとんどだ。木暮氏は「やってみないことには怖い、得体の知れないものだと感じてしまうと思うのですが、1回やってみると案外『こんなものか』と思うことがたくさんあると思う」と話す。

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日本人は投資をしない国民性?

梅村氏は近年、私は投資用の不動産としての「casita」という戸建て賃貸住宅の取り組みを、いろいろな方に提案している。個人のマイホームで4000万円のローンを組んだり5000万円で土地建物の購入を検討したりすることに対しては、積極的な方が多くあまりリスキーだとは思っていないそう。

しかし面白いことに、5000万円の不動産投資をリスキーと考える方が多いと話す。同じ金額であるにもかかわらず、このような違いが生まれるのはなぜだろうか。

木暮氏によると、「投資という言葉自体が、義務教育でほぼ禁止されているような、嫌悪感の強い言葉にされてしまっているので、どうしてもイメージが悪い」とのこと。小さい頃から何歳になったら車を買って、何歳になったら結婚して、何歳に家を建ててみたいなシナリオができているので、それが当たり前のように植えつけられている。

投資という言葉自体が、義務教育でほぼ禁止されているような、嫌悪感の強い言葉にされてしまっているので、どうしてもイメージが悪い。そのため自然と近寄らないようにしておこうと思っているのかもしれない。

「そこから抜け出るためには、社会の環境の変化を待っていては遅いので、自分で勉強していくしかないと思います」と木暮氏は話している。

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将来、人と接する機会が減る

これまでの20年よりも今後の20年の社会のほうが、大きな変化が起こるだろうと想像する梅村氏。それに対し木暮氏は、日本の社会全体で考えるとテクノロジーの変化と相まって、人と接することがものすごく少なくなると予想する。すでに「テレワーク」や「バーチャル出社」のようなものもあり、働くことだけではなくて、住環境もそうなっていくと考えている。

 

昔は“ご近所さん”という付き合いがあったが、いまはマンションで隣の部屋に誰が住んでいるのか知らない、見たこともないみたいなことが不思議ではない。どんどん個が小さくなっていって、いい意味でいうと独立していく。悪い意味でいうと隔離されていく。木暮氏はそんな時代になっていくと予想する。

一長一短あるけれど、と前置きしてから木暮氏は、「一番いけないのは変わっていく環境に『ついていかない』と決めてしまうこと」と述べた。いいか悪いかは別にして、変化についていかないと置いていかれるだけで、置いていかれたら悲惨なことになるという。

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「判断」ではなく「決断」が重要

「赤信号をみんなで渡れば」という言葉があるが、一人だけで渡っていると自分だけリスキーな感じがする。自分だけが「間違えちゃう」という意識は日本人は強い、と木暮氏は話す。

しかし、今まで乗っていた船が沈みかけていると思うなら、隣にあるボートに乗り移らなければいけない。早く乗り移ったほうが自分で好きなところに行けて早く助かるのに、みんなギリギリまで待っている。

だから、日本人は早く乗り移るようなマインドにならなきゃいけない。木暮氏によると、そのためには小さいことから、どうでもいいことから新しいものを取り入れていかなければいけないという。

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“決断”ではなく“判断”する日本人

木暮氏は、日本人はみんな“決断”をしなくなっていると話す。「どっちがいいか教えてください、そしたら決めます」と、“決断”ではなく“判断”をしようとしているそうだ。

二択のうち、片方が良い・優れていることがわかった上で、そちらを選ぶ。これは決断ではなく、ただの判断。優劣がわかっているから、ただ単に選択しただけだ。

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木暮氏によると、決断というのは「よくわからない中でこっちをとる」と決めること。小さい決断で構わないから、流れで行くのではなく、こっちを意図的に選ぶということ決めていかないと、さらには決断に慣れていかないと、これからきつくなるのではないか、と危惧している。