日本経済にとっては大きな利益?!不動産市場の観点から見る、東京オリンピックとカジノ開発。

2016年12月2日、衆院内閣委員会で統合型リゾートを推進する法案(カジノ法案)が自民党や日本維新の会で可決されました。

「依存性が…」、「風紀が乱れる…」など様々な問題を叫ばれていますが、日本でも「競馬」など公営のギャンブルが運営されていますし、税金は25%と世界の国々と比較しても高くギャンブルが国の収益になることは明確です。

では、政府が急速に進めているカジノ法案。カジノの賛否は一旦議論からは離れ、カジノ効果でホテルや、不動産にはどういったメリットが挙げられるのでしょうか。

オリンピック後の経済政策として日本経済にとっては大きな利益。

カジノ法案は当初、東京オリンピックでの相乗効果を狙い、オリンピックに向けた成長戦略の柱の一つとして同時期を目指して協議されていました。しかし、法律の整備などが間に合いそうにないため、現在はオリンピック後の日本への集客・訪日客減少への対策として進められています。

消費税引き上げを見送り、政府がどこから資金を調達するかと考えた時、オリンピックという世界のイベントで関心を高めておき、オリンピック後も日本に観光客が来てくれるようオリンピック後にカジノ開業も有効な選択かもしれません。

候補地として有力なのは、東京・横浜・大阪・沖縄の4都市。日本のキャピタル&イノベーション社では、カジノ施設が3~4か所の場合、市場規模は1.2兆円、10カ所の場合は、2.2兆円と予想、ゴールドマン・サックス証券は、4つのカジノ施設をつくった場合に市場規模は1兆5000億円となると試算しています。

不動産という観点だけで見ると、カジノは間違いなく追い風。

これ程の経済効果を生む大型法案が実現すれば、周辺価値の上昇が期待されます。

カジノ法案の正式名称は「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」、略して「IR推進法案」と呼ばれ、カジノだけでなく、ホテルやショッピングモール、巨大な会議場・展示場等ビジネス関連施設を含む複合観光施設を指すことを目的としています。

世界の他の地域での例をみると、カジノ施設が出来たことによって、インフラが整い、商業施設がたくさんでき、その周辺に雇用が増えました。地価・不動産価格・テナント賃料が上昇し、約3年で150%ほど上がったというデータも。不動産の観点だけで見ると、カジノは間違いなく追い風といえるのではないでしょうか。

成熟度の低いエリアも高いエリアも関係なく土地の地価は上昇。

カジノ誘致は、成熟度の低いエリアであっても高いエリアであっても地価は上昇します。集客効果、経済効果により、商業地については間違いなく地価が上昇されると見ているからです。ただし、影響が及ぶ地域以外は大きな変化はあまり期待できず、大きな広がりとしては見られてはいません。

 

一方で、住宅地については、治安不安や住環境の悪化を懸念する声が増え、カジノがあることの直接のメリットは、交通インフラが整備される場合などに限られるのではないでしょうか。繁華街と住宅街の住み分けがはっきりすれば、「casita」のような戸建賃貸などの需要地域が明確になるかもしれませんね。何れにしてもまだまだ不動産業界は盛り上がりを見せそうです。