高級民泊企業「Luxury Retreats」を買収し大きな布石を打つAirbnbの勢い

不動産市場だけでなく、ここ数年で拡大を見せている“ 民泊 ”のスタートアップ業界の先駆者として注目を集める「Airbnb(エアビーアンドビー)」。

個人宅の空き部屋を旅行者に貸し出す民泊プラットフォームを運営するAirbnbは、2008年の創業以来、今や世界191カ国6万5千以上の都市でアパートをはじめヴィラやツリーハウスなどユニークな物件を扱う。

最近では、その地域の良さを知ってもらう「体験」することに注目し、スウェーデンの観光機関・Visit Swedenが国全体をAirbnbのリストに掲載するなど、民泊だけではなく旅行のプラットフォームに向けた事業拡大も注目を集める。

M&Aによる経営拡大で、ラグジュアリーな “ 民泊 ”を提供。

そんな中、今年に入りラグジュアリー物件に特化しているLuxury Retreatsを買収し、高級物件の掲載を増やしたいという意向もあるようだ。

“Airbnb Inc. bought Luxury Retreats in its biggest acquisition yet as the apartment-rental website takes steps toward becoming a full-service global travel company.”

今年に入りカナダのモントリオールに拠点を置く富裕層向け高級バケーションレンタル仲介のLuxury Retreats(ラグジュアリー・リトリーツ)を買収。

ラグジュアリー・リトリーツは、高級バケーションレンタル物件を中心に現在世界全体で4,000以上の物件を扱う、Airbnbがこれまでリーチしてこなかった層の物件を網羅している。扱う物件は高級別荘など建物としてもラグジュアリーだが、そのロケーションにも定評がある。

高級別荘レンタルは利益率も高い?最も注目される成長領域。

Luxury Retreatsの扱う富裕層向けの高級別荘レンタルは利益率も高く、旅行業界のなかで最も重要な成長領域の一つでもある。「富裕層の方々がなぜ民泊を?」と不思議に思うかもしれないが、富裕層の中では、勝手がきき、ホテルとは違ったパーソナルスペースが確保され、ロケーションに拘った 別荘 は人気がある。

価格も「ホテルと変わらない宿泊費では?」と感じる方も多いかもしれないが、不動産を所有・維持するのに比べれば格段に安い。さらに先ほどあげたロケーションなどの付加価値がつき、世界各国で利用できるとなれば逆に安く感じる方も多いだろう。高級別荘レンタルの利益率の良さがさらに裏ずけとなり、観光業界が最も注目する成長領域となっている。

総合旅行プラットフォームとしてのAirbnbの第一歩。

また、Airbnbだけではなく、2015年12月にはエクスペディアがバケーションレンタル大手のホームアウェイを買収し、アコーホテルズが英バケーションレンタルのワンファインステイを買収するなど世界中で民泊市場では大型の買収が続いている。

宿泊予約から旅行、航空券予約まで幅広く取り扱う総合旅行プラットフォームへの進化の傾向が強まる中、今回のAirbnbの行った富裕層向け高級バケーションレンタル仲介のLuxury Retreatsの買収は大きな布石と言って良いだろう。

 

新たな不動産投資としても魅力的だが、民泊市場で最もアクティブな総合旅行プラットフォームを維持するAirbnbからまだまだ目が離せない。