スノヘッタが拡張工事を手掛けたマリオ・ボッタ設計の「サンフランシスコ近代美術館」

カリフォルニア州サンフランシスコにある「サンフランシスコ近代美術館」は、西海岸で初めての20世紀の芸術作品のみを展示する美術館として1935年にオープンした。1995年にマリオ・ボッタの設計で生まれ変わり、ヤーバ・ブエナ・ガーデンの隣に移転し、MoMA(ニューヨーク近代美術館)と区別するため「SFMoMA」が愛称になる。2016年には北欧の建築家ユニット、スノヘッタの手によって拡張オープンした。

マリオ・ボッタとスノヘッタそれぞれの特徴を表すSFMoMA

ヤーバ・ブエナ・ガーデンの向い側に面したファサードは、マリオ・ボッタらしくレンガを使い幾何学を基本としたデザイン。

高層ビル群に面したファサードは、垂直に伸びるビル群に対して立体的な地形の作るようにして作られている。ランドスケープまで一体的に考えるスノヘッタらしいデザインだ。またFRPで覆われた表面はその規模にしては軽やかな印象を持たせている。

大聖堂のような求心的な建築

ヨーロッパの都市では大聖堂と広場が中心となって街が作られていることが多い。それを熟知している建築家マリオ・ボッタがここサンフランシスコでも大聖堂的な建築を実現した。特徴的なファサードもさることながら、エントランスに足を踏み入れると巨大な吹き抜けが訪れるものを崇高な気持ちにさせてくれる。

トップライトからは柔らかい自然光が注ぐ。

機能的で現代的な空間を実現

もともとサンフランシスコのダウンタウンという土地がない場所にあるSFMoMAは、どのようにその床面積を増やすかと言う問題を解決する必要があった。またSFMoMAは巨大化する現代アートを収蔵、展示するには限界に近く、それにも対応することが求められた。

それをスノヘッタは、マリオ・ボッタがデザインした本来のSFMoMAの要素を再構成することで階高が高く、明るい展示空間を実現させた。また、異なる2つの建物はシームレスに繋がり、1つの建築としての体験を得ることができるようになった。

多様なアートを展示する現代的な空間が実現。

大きな開口やトップライトにより明るい空間が現れる。

拡張されたSFMoMAのファサードに当たる場所は階段のスペースがあり、トップライトが各階に光を通す。

都市の中のランドスケープ

拡張されたスペースには、このような屋外テラスのスペースがあり、屋外アートと共にカフェが設けられているため街の延長上のような雰囲気だ。

サンフランシスコという高層ビルが乱立する都市に置いて公園のようなランドスケープを導入した優れた美術館である。

 

サンフランシスコ近代美術館、通称SFMoMAは、マリオ・ボッタが作った美術館が大聖堂だとするならば、スノヘッタによって拡張されたスペースは広場のような場所であり、それはヨーロッパの都市や街の良さを再現した美術館と言えるかも知れない。

収蔵されているアートもアンディ・ウォーホルやフリーダ・カーロ、マシュー・バーニーなどの現代アートの大御所と呼ばれる作品が多く、アメリカ西海岸に置いてその存在価値は大きい。

SFMoMA / San Francisco Museum of Modern Art – サンフランシスコ近代美術館

開館時間:10:00~17:00(木~21:00)
休館日:水曜日
電話:+1 415-357-4000
URL : https://www.sfmoma.org
住所 : 151 3rd St, San Francisco, CA 94103 USA