展示室は全て地下!シーザー・ペリによる世界でも稀な大阪・中之島の美術館「国立国際美術館」

地上からは見えない美術館があるのをご存じですか?

大阪中之島にある国立国際美術館は、世界でも珍しい完全地下美術館なのです。地上から見えるのは特徴的な鉄筋で作られたオブジェだけ。しかしそのオブジェに誘われるように中に入り地下に潜ると、約8000点を数える現代美術を鑑賞することができるのです。いろいろな楽しみ方ができる施設なので、その魅力を確認してみましょう。

「あべのハルカス」などを手がけたアルゼンチンの世界的建築家シーザー・ペリとは?

シーザー・ペリ
Via : Wikipedia.

国立国際美術館を設計したのは、アルゼンチン出身、アメリカの建築家シーザー・ペリ氏です。世界有数の高さを誇る超高層ビルや、その都市のランドマークとなる建築物の設計を次々と手がけた有名な建築家で、同じく大阪にあるあべのハルカスも彼の設計です。建築物正面に曲線を用いたり、金属素材を印象的に使用するデザインで知られています。自身の建築手法に関する著書も複数執筆しており後進の育成にも力を注いでいましたが、2019年に92歳で亡くなりました。

2004年に大阪・中之島に開館した「国立国際美術館」

国立国際美術館

国立国際美術館は、主に戦後の国内外の現代アート作品を約8000点収蔵している、現代美術の発信地とも言える美術館です。1977年の開館当初は吹田市万博記念公園に建っていましたが、2004年に中之島に移動、リニューアルオープンしました。その特徴はなんと言っても、世界的に見ても珍しい「完全地下型」美術館であること。子供の来館にも力を入れており、美術館としては珍しいキッズルームや、子供向けイベントも数多く開催されている、家族で楽しめる美術館なのです。

躍動感あふれるオブジェのような外観

国立国際美術館

大阪駅から南に10程歩くと見えてくる国立国際美術館。オフィス街の中でとりわけ目を惹く鉄骨のモニュメントが特徴です。曲線的なデザインは、当に設計を担当したシーザー・ペリの特徴がよく現れている部分。竹の生命力と現代美術の発展・成長をイメージしてデザインされています。完全な地下型美術館故に地上から見えるのはこのモニュメントだけなので、より大きな印象を受けることでしょう。

地下に埋まる展示室にはトップライトから地上の自然光が注ぐ

国立国際美術館

完全地下型の美術館と聞くとどうしても薄暗いイメージがありますが、建物に入り地下一階に下りると、ガラス張りの天井から太陽光が差し込む明るいエントランスが現れます。

国立国際美術館

入り込んだ太陽光はエントランスゲートから連続しているエスカレーター部分を通って地下2階まで届き、地下とは思えないほど明るい展示室が出迎えてくれます。

興味深い企画展や常設の現代アート

国立国際美術館

「国立国際美術館と言えば」真っ先に名前が挙がるのが、ジョアン・ミロの「無垢の笑い」です。陶板640枚で構成されているこの巨大な作品は、作者の特徴である鮮やかな赤や青、黄色といった色彩が目を引きます。そもそも国立国際美術館は、1970年の大阪万博の際に世界各国の美術品を展示する目的で建設されました。この「無垢の笑い」も大阪万博のために作られた作品で、作者はガス・パビリオンでの展示のために来日し、日本でこの作品を制作しました。美術館が現在の場所に移動する前、1977年の開館当時から収蔵されている、代表的な常設展示です。

国立国際美術館

国立国際美術館では、常設展示の他に年4回ほど企画展とコレクション展が開催されています。過去の特別展では、2022年2月から5月にかけて「感覚の領域今、経験するということ」が開催されました。従来の「美術は視覚的芸術である」という捉え方を過去のものとするような、全ての感覚器官を稼働することで体験できる現代美術を紹介していました。中原浩大の「Text Book」は、鑑賞者が一枚ずつページをめくることで作品となる現代アートです。

大阪で現代アートを体験しよう

圧倒的に目を引く外観、そして完全地下という不思議な空間。中之島の地下で、現代アートを体験してみましょう。

国立国際美術館

開館時間:10時~17時(入場は16時30分まで)夜間開館時間(毎週金・土曜日)10時~20時(入場は19時30分まで)
休館日:月曜日、年末年始、展示替え期間。月曜日が祝日の場合は開館し、翌火曜日に休館
URL : https://www.nmao.go.jp/
住所:大阪府大阪市北区中之島4-2-55