ノーマン・フォスターの設計のロンドン「シティ・ホール」は螺旋状の形状が特徴的。

イギリス、マンチェスター生まれの建築家、ノーマン・フォスターの設計で2002年7月にオープンした、ロンドン市長とロンドン議会のメインオフィスとして使用されているシティ・ホール。このシティ・ホールは、消費エネルギーを抑えるように仕込まれている建築物であるのだ。

ガラス張りで奇妙な外観のロンドンのシティ・ホール

シティ・ホールは、ロンドン、テムズ川を挟んで、ロンドン塔のほぼ向かいに位置しているタワーブリッジのすぐ近くにある。斜めに傾くユニークな形状をしているので、すぐに見つけることができるだろう。

このシティ・ホールの外観は、ガラス張りで独特な形となっており、スライスした茹で卵を少しずつ斜めに重ねたように見える。市民の中には、ダースベイダーのヘルメット、ダンゴムシ、オートバイのヘルメットなどと、表現する人もいるそう。ガラス張りの庁舎は、市政の透明性を表しているとも言われており、またガラス張りにすることで、自然光がよく入り、エネルギー消費を抑えている。

ぐるぐると螺旋状が特徴の内部空間

一般的に、市庁舎や議会と言えば少し硬いイメージがあるが、このシティ・ホールは市民に憩いの場を提供できる上に、観光名所の一つにもなっており、セキュリティを通ると限られたエリアのみ見学が可能。シティ・ホール内部は、グルグルとした螺旋状が特徴的となっている。

こちらは地下のスペースだが、自然光が差し込み、目の前の広場と繋がっているため明るく、広々と開放感のあるスペースである。このような硬いイメージの場所で、ここまでオープンな印象の場所は中々ないであろう。

消費エネルギーを抑えるための設計

南側に大きな吹き抜けのスパイラル状空間が作られ、自然光が入るように設計されている。こちらの建築物は、エネルギー効率を最大化するために、建物の表面積を最小にしている。表面積が同じ床面積の四角い建物よりも、25%も少なくなっているのだとか。球のような奇妙な形をしていることもこれが理由の一つだ。

螺旋状のスロープが続いていてガラス張りの窓からは、周囲の様子を眺めることができる。高さがあり、引き締まったスペースからは、自然と背筋がピンっとなるような空間となっている。

どこまでも続く螺旋状を進みながら回るのはやはりワクワクし、楽しい建築だと感じる。照明だけでなく自然光が充分に差し込んでいるので、明るく洗練された雰囲気。

周囲の風景との立体的な関係性も面白い。10 階建ての最上階にある展望デッキからは、ロンドンのパノラマビューが楽しめる。ロンドンにノーマン・フォスターの建築は多いが、シティ・ホールほど、内部まで独特な空間体験ができる建築は少ない。一般的な市庁舎や議会といった硬いイメージとは違い、このシティ・ホールは、どこまでも続く螺旋状の設計がユニークであり、誰でも入りやすい柔らかな雰囲気がある。

City Hall – シティ・ホール

開館時間:8:30~18:30
休館日:土・日曜日
電話:+44 20 7983 4000
URL : https://www.london.gov.uk/about-us
住所:The Queen’s Walk, London SE1 2AA UK