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国立近現代建築資料館で「紙の上の建築・日本の建築ドローイング」展が開催中

東京・湯島にある文化庁国立近現代建築資料館では現在、日本を代表する建築家11組のドローイングを特集した建築展「紙の上の建築」が開催されている。

建築家たちは何故それを描いたのか。彼らが紙の上に求めたものは何だったのか。

一般的には、ひとつの建物を竣工させるために必要な図面やスケッチ、完成予想図などをドローイングと言うが、ここで展示されているものは、実務上の要求を越え、建物が竣工するということだけでは必ずしも完結しない建築家達のヴィジョンが示されている。

国際的に注目を集める貴重な建築アーカイブズ

出展建築家は、渡辺洋治氏、磯崎新氏、藤井博己氏、相田武文氏、原広司氏、山本理顕氏、鈴木了二氏、安藤忠雄氏、高松伸氏、毛綱毅曠氏、象設計集団。

90年代のCAD(Computer-aided design)の普及やBIM(Building information modeling)の発展により、今でこそドローイングによる表現は非常に少なくなっているが、今も昔もドローイングは建築家にとって実作のためのスタディであると同時に、建築空間の潜在的な可能性や未来へのビジョンを描き出すものとして、ときに実作以上の大きな影響を建築とその周辺領域に与えてきた。その中でも出展建築家達が活躍をはじめる1970〜80年代の日本建築界はドローイングや模型表現が多様化した時代であると共に日本人建築家が国際的な活躍を本格化させる時代でもある為、これらのコレクションは国際的にも高い関心を集めている。

固有の世界を持つ同時期の建築家

まず、この展覧会が規模においても、またテーマにおいても限定されたものだという事を考慮しても、出展建築家の多様な表現力がとても印象的だった。というのも近年になって若手建築家のドローイングをたびたび目にするが、柔らかいタッチで概念を抽象化したものが多く、独特な世界観を持つものはあまり見ない。

それに比べ、鉛筆による精密な製図に濃密な陰影が印象的な高松伸氏、クレヨンや墨を用いてその土地固有の風土や文化を表現した象設計集団、宗教的精神性を込め多種の表現技法で豊穣的な象徴的世界を表現した毛綱毅曠氏など、ほとんど同時期の建築家であるにも関わらず、それぞれ自立したビジョンやテーマを持っていたということは展示されているドローイングから伺い知れる他、磯崎新氏の「還元」と題された一連のシルクスクリーン作品など、版画やコラージュなどで表現されたものも展示されており、そうした技法の違いからも建築家達が何に関心を持ち追求していたのか、比較しながら読み解くことが出来る。

また、会場の中央では高松、原、藤井、磯崎4氏のインタビュー映像も上映されており、小規模ながらとても見応えのある展覧会だった。

会期は2018年2月4日まで。会期中はギャラリートークなども予定されている。土日祝日は隣接する都立旧岩崎邸庭園と同時観覧となるため同庭園入園料(一般400円)が必要となるが平日は展覧会だけの観覧であれば無料。在庫次第だと思われるが、事務室で展覧会の詳しい解説が記載されている図録がもらえるので近代建築好きは必見の展覧会だ。

文化庁国立近現代建築資料館

開館時間 :10:00-16:30
休館日 :企画展示により異なります。展示のページをご確認ください。
入場料:無料(旧岩崎邸庭園から入館する場合は、庭園観覧料400円が掛かる。           また、土日・祝日は岩崎邸庭園からの入館のみ)
URL : http://nama.bunka.go.jp/
住所 :東京都文京区湯島4-6-15

宍戸幸大

宍戸幸大

モノ・コトの成り立ちに興味があります。

建築構法/セルフビルド/空間デザイン/コミュニティデザイン