exhibition

「安藤忠雄 21_21の現場 悪戦苦闘」で見たつくり手の世界

via : http://www.2121designsight.jp/program/ando2017/

東京・六本木にある安藤忠雄設計の21_21 DESIGN SIGHTは、デザインを通じてさまざまなできごとやものごとについて考え、世界に向けて発信し、提案を行う場として2007年3月に始動した。以来3人のディレクター三宅一生、佐藤 卓、深澤直人と、アソシエイトディレクター 川上典李子が常に検討を行い、「土木展」や「デザインの解剖展」など様々な展覧会やプログラムが開催され毎回注目を集めているが、会場となっている21_21 DESIGN SITEはいかなるプロセスを経て現在の姿に至るのか。その様子に焦点をあてた「安藤忠雄21_21の現場 悪戦苦闘」が先月開催された。

安藤氏は著書「悪戦苦闘2006年の現場」で

「建築について考えるのなら、出来上がった建物はもとよりそこに至るまでのプロセスに目を向けるといい。(中略)その建築に至るまでに、つくり手はいかに迷い、いかに考え、いかに創っていったか。完成した建築とは別の確固たる世界がそのには広がっている」(同書:P.15)

と書いている。この建築にはどのような世界が広がっているのだろうか。

完成後の姿からは伺いしれない建築の舞台裏

会場に入るとまず、構想から建設、完成にいたるまでのスライドショーが目に留まる。まさにこの場所が職人の手によって徐々に完成していく様は、実際その場に身を置いているような臨場感があり感慨深い。

最終案に至るまでの5つのフェーズ

依頼を受けた直後に描かれたスケッチ。三角形を描くスパイラル構成のギャラリーイメージが描かれている。

PHASE1-初期構想

初期構想模型 (2003.7):螺旋状にめぐるギャラリーが特徴的で中心に多目的ホールが配置された回遊型ミュージアム

折れ曲がった一枚鉄板の屋根が地面に向かう姿が印象的だが、初期の構想では、敷地内の公共緑地の地下部分にすべてのボリュームを埋める案だったという。抽象的な概念が現実の敷地に組み込まれ、具体的な形が現れてくる。

PHASE2-敷地が変更となる

2004年3月、当初の構想を見直し地上に上屋を設けた案の検討が進められるが、面積や高さの制限、さらには緑地率の維持等厳しい条件下での設計となる。またこの段階の終わりに緑地内の利便施設として別棟のカフェ(現在のギャラリー3)を併設するプログラムが加わる。

PHASE3-規模が変更となる

2004年12月、運営方法の見直しにより、地下部分の規模が縮小をはじめとする様々な条件変更が課せられる。

PHASE4-上屋造形の検討

多様な形態の可能性が探られる中で、緑地帯のランドスケープと連続するような折板屋根形状がイメージが現れる。

PHASE5-最終案

試行錯誤を繰り返す中で、突如屋根を鉄板にする案が浮上。これは、21_21DESIGN SIGHTの創始者であり、日本を代表するファッション・デザイナーである三宅一生の「一枚の布」というコンセプトに通じるもので、「一枚の鉄板」という建築イメージに結集する。そこから一気に設計が詰められていった。

設計者とつくり手の確かな人間関係

施工中の写真から、軽快な印象を与えていた一枚の鉄板屋根は、一枚の板に見えるほどの精度で仕上げられた板だったという事が分かる。数回の大きな軌道修正に加え、長さ54mにも及ぶ鉄板屋根の採用。たしかに完成した建築から感じることは出来ない別の確固たる世界が広がっていたが、幾多の課題に悪戦苦闘しながらも設計者とつくり手が互いに妥協なく挑戦しつづけるプロセスがあってこそ、人を惹きつける建築が生まれるということを改めて感じる企画であった。

こうした舞台裏の世界を意識すると普段見てる景色も少し違って見えるのではないだろうか。

21_21DESIGN SIGHT

開館時間 :10:00-19:00(入場は18:30まで)
休館日 : 火曜日、年末年始
入場料:プログラムによる、1Fショップは入場無料
URL : http://www.2121designsight.jp/
電話:03-3475-2121
住所 :東京都港区赤坂9-7-6

宍戸幸大

宍戸幸大

モノ・コトの成り立ちに興味があります。

建築構法/セルフビルド/空間デザイン/コミュニティデザイン