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建築家・菊地宏が改修を手がけた本の街・神保町にある建築専門書店「南洋堂書店」

本の街、神保町。神保町駅を出て、古書店の趣を感じながら5分ほど歩くと、コンクリート打ちっぱなしに全面ガラス張りのウィンドウが印象的な古書店にたどり着く。建築関係者が一度はお世話になるという建築専門書店、それが南洋堂書店である。現在の建物は1980年竣工。最初の設計は、土岐新建築総合計画事務所。2007年8月に行われた1,2階の改修工事は菊地宏の設計によるもの。

「木」と「光」を取り込む書店のデザイン

2007年の改修にあたり、菊地宏氏は南洋堂書店の前にある「木」と「光」に着目た。木と面する壁面をガラス張りにして「木」を眺めるようにして、「光」が安定的に差し込む空間になった。ガラス越しに伺う中の様子も特徴的でファサードの印象も柔らかくなったように感じる。2階に行くと特徴的なU字型のフロアが現れる。U字型は柔らかい曲線でデザインされ、明るいトーンの配色で光を柔らかく反射する優しい印象になっている。広くない店内にあって、手が触れる距離感のモノは良い手触りを感じられるものだったり、細く主張しない照明に変えたりと随所に色々な工夫が見られる。歩き疲れないように絨毯が使われた床も、書店を回遊する楽しさを感じられる工夫の一つだろう。

また、過去にはアーキテクトカフェが3階の洋書スペースとギャラリースペース「N+」を、屋上スペースはプロスペクタ―が手掛けた改修を行なっていて、それらもよく見ると良いだろう。

日本全国から問い合わせ殺到。建築一筋50年。

創業当初は一般書も扱う古書店だったというが、先代である2代目に変わる昭和30年代後半からは、建築書を専門に扱うようになった。50年以上、建築一筋というわけだ。1階と2階は古書、和書、雑誌のバックナンバー、3階は新刊中心の洋書が並べられている。国内の書籍だけでなく、海外から直接買い付け、安く販売する洋書などが好評で、貴重な書籍は数十万のものでも飛ぶように売れるという。

お客様のリクエストに答え続ける書店

南洋堂書店の1つの特徴として、WEBに力を入れている点がある。内容は毎日更新され、WEB上で在庫の確認、購入できるだけでなく、買取価格の目安も公開されている。建築事務所で働く人たちは忙しくて来店する暇がないというお客様の声から、現在のWEBシステムを導入したのだとか。先代が扱う本を建築専門にしたのも、大学の建築関係の先生の要望に応えてのことだそう。

 

日本全国どこからでもWEBで手軽に発注でき、貴重な古書が手に入るようになったのは素晴らしい発展ではあるが、本の街・神保町の街に佇む、スタイリッシュな建築書のメッカには1度実際足を運んでみてほしい。

南洋堂書店

開館時間 : 10:30-18:30
休館日 : 日曜日・祝祭日
電話 : 03-3291-1338
URL :https://www.nanyodo.co.jp
住所 : 東京都千代田区神田神保町1-21

藤巻百合香

藤巻百合香

首都大学東京で表象文化論を学び、表現の多様性に興味関心を据える。

大学在学中にお笑いライブ専用劇場をオープン。22歳で劇場経営とお笑いイベントプロデュースの会社を設立。

舞台芸術から建築まで、様々な視点で表現を追求する。

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