「ル・コルビュジエの芸術空間」展で見た国立西洋美術館、思考の軌跡。

2016年、国立西洋美術館が世界遺産に登録されたことは有名ですよね。

国立西洋美術館はこれ機に、一気に観光客が増えたようです。そんな国立西洋美術館の建築を担当したのが、ル・コルビュジエ。今回は、そんなル・コルビジエが実際にかいた美術館の図面から、自分の理想に近づけるまでの軌跡をたどった「ル・コルビュジエの芸術空間展」をレポートします。

発展し続ける「無限成長美術館」

今回の展示では、実際にコルビュジエが描いたパースや、スケッチが多数展示されていました。

今いる建物の設計図などを見ていると思うととても不思議な感覚に!上から見ると、こんな風になっているのかという驚きや、コルビュジェの工夫に感動しました。

国立西洋美術館は、展示品の増加に合わせて展示室を増築していく「無限成長美術館」をめざし、今の姿・状況もまだまだ発達する余地が残されているそうです。ピロティをくぐり、建物の中心部からスロープを昇って2階の展示回廊へと続くこの美術館の動線は、規模は小さいながらも、世界博物館以来のコルビュジエの発想が反映されています。

これまでのコルビュジエの作品をたどると、また国立西洋美術館の見方も変わっておもしろいですね。

実現しなかったコルビュジエの提案

実はコルビュジエは当初、美術館のほか企画巡回展示館や劇場が建ち並ぶ文化センターを提案していたそう。しかし予算面から結局、美術館以外の施設は除外せざるをえなかったようです。また、2階の展示回廊にある照明ギャラリーは、もともとは屋上にスバスチカ型(卍型)に配置された天窓から自然光を採りこむ案でしたが、日本側の検討の末、直射光で絵が反射し、劣化の原因にもなるとの理由から蛍光灯などの人工光に変更さてしまいました。

しかし、世界遺産に登録されてから、コルビュジエの元々の案に近づけられるよう様々な提案がなされているようです。

ほかにも気になる!コルビュジエ作品

今回は、コルビュジエが手がけた他国の作品についても少しご紹介したいと思います。

フランス・マルセイユにある集合住宅「ユニテ・ダビタシオン」。

同じくフランスにある「ラ・トゥーレット修道院」。

ドイツ・シュトゥットガルトにある「ヴァイセンホフ住宅博物館」。

いかがでしたか?知れば知るほど奥深く、計算されたコルビュジエの建築。

国立西洋美術館に行った際には作品だけでなく、建物も改めてじっくり見て回ってみてくださいね。

国立西洋美術館

開館時間:9:30~17:30(金曜日~20:00)
休館日:月曜日
URL :  http://www.nmwa.go.jp/jp/
住所 : 東京都台東区上野公園7−7