不動産投資においてここ10年で考慮しなければいけないリスク3選

株やFXに限らず国内の資産運用の意識も高まり、不動産による投資をする人も増えてきている。さらに、ここ数年は景気も回復し不動産は買いの傾向が若干強くなっていて、今後もその傾向は続きそうだ。

しかし、投資である以上失敗すればそれなりの損失を負うことになるため、近い将来に考えられるリスクは考慮しなければならない。例えば、ここ10年以内で考慮しなければいけないリスクとは何が考えられるだろうか。

オリンピック会期後の景気低迷「2020年問題」

2020年の東京オリンピックが決定した2013年以降、東京のマンションの販売が活気付き、収益の見込める優良物件は国内だけでなく海外からも投資が集まった。しかし、東京オリンピック終了後は、マンションの価格が大幅に低下する可能性は高い。2020年までにキャピタルゲインを狙って売りが進んだ後は、バブルが弾けたかのように不動産市場も勢いを無くしてしまうかもしれない。

また、2008年の建築基準法改正によって竣工・外壁改修等から10年経過したマンションは全面打診検査が義務付けられたため、2018~2020年頃に修繕費用や建て替え費用などが発生してしまうことがあるだろう。もちろん、そういった維持管理がしっかりしていて、コストも見込んでいる物件は大丈夫だろうが。

宅地の供給増加による地価下落「2022年問題」

公園適地として生産緑地指定された森林 |  Via : Wikipedia.

生産緑地という制度をご存知だろうか?1992年に三大都市圏の都市部に農地を残すことを目的として始まったこの制度は、行政により生産緑地の指定を受けた場合に、固定資産税の軽減や相続税の猶予など税制上の優遇を受けられるものだ。

その生産緑地制度の税制優遇は、指定を受けてから30年と期限がある。そして、現時点で生産緑地を所有している人たちのほとんどが、制度開始から30年にあたる2022年に期限が来るため、新たな土地活用の迫られる。

そのため、今まで田畑や公園、緑地としてしか存在していなかった生産緑地が、宅地としてマーケットに流れ出すことが予想される。こうした宅地転換により不動産が供給過多になり、地価が値崩れする可能性が高い。一般のハウスメーカーや不動産会社は、アパートやマンションを建てて不動産運用することを提案することがほとんどだが、その市場も既に飽和状態である。

超高齢社会と人口減少「2025年問題」

2008年の1億2808万人をピークに減少に転じていて、ここ10年間で700万人も減少するという試算もある。それに東京オリンピックが終わり、2025年には日本の人口分布は大きく変わっているだろう。団塊世代が75歳に達して後期高齢者となる2025年には、日本は人類史上、最も早いスピードで高齢社会に突入する国になり、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上となる。それにより、7000万人の生産年齢人口で、3500万人の高齢者を支える時代が訪れる。

この2025年問題が、不動産市場に影響しないわけはない。一般的なアパートやマンションの住まい手は生産年齢人口である15歳~64歳がターゲットであることが普通だろう。そのため、これからは需要が大きく低下するため需要と供給とのバランスが変わり、不動産価格も下落を続ける可能性は大いにある。

 

ここ10年以内にありえる3つのリスクについて挙げたが、これらリスクを理解した上で不動産投資を行えば十分に運用可能だ。例えば、東京などの大都市圏や観光地の近くなど人口が集中したり、訪日外国人が多く訪れる場所だったりと場所を考慮する。また、アパートやマンションではなく戸建賃貸だったり、高齢社会に合わせ老人ホームや医療関連施設だったりと不動産活用方法を考えることも重要だ。

いずれにせよ、東京オリンピック後は日本社会が変わっていくことを前提に、長期的な目線で考えていくことをオススメする。