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最も賞賛されるべき現代建築の一つ。フランク・O・ゲーリー設計の「グッゲンハイム・ビルバオ」

スペイン北部はバスク地方の都市ビルバオ。工業都市として発展したビルバオは1990年代以降に産業が衰退したが、現在では人口35万人の街に、世界中から観光客が集まり、年間100万人以上の人が訪れる。

ビルバオの街に世界中から観光客を集める役割を果たしたのは、1997年に開館した「グッゲンハイム・ビルバオ」に他ならない。「グッゲンハイム・ビルバオ」はアメリカのソロモン・R・グッゲンハイム財団が設立した、ニューヨークなどにもあるグッゲンハイム美術館の分館である。

巨大な船のようなチタニウムの皮膜で覆われた美術館

チタニウムの皮膜で覆われた外観は、ネルビオン川に浮かぶ一つの巨大な船のようだ。幾重にも重なるチタンの局面が光を反射して綺麗なグラデーションになり、川沿いから眺めるだけでも美しい。

ビルバオ市内を流れるネルビオン川沿いに隣接して建てられたグッゲンハイム・ビルバオは、隣接するサルベ橋と合わせてランドマークとして機能している。それほど大きな建築物が多くないビルバオでは、巨大なこの美術館はかなり目立つ。

模型と最先端の3次元CADを行き来して行われた設計プロセスから、無規則的に生成されたようなファサードは今までにない迫力がある。魚の鱗のような表面も陰影を作り出していておもしろい。

正面のエントランスでは、ジェフ・クーンズの「パピー」が来場者を迎える。石やガラスとチタン以外にもフランク・0・ゲーリー特有の素材使いが見受けられる。

屋外に展示しているアートも多数あり、市民にオープンな美術館になっている。六本木ヒルズにあるルイーズ・ブルジョアの巨大な蜘蛛のアート「ママン」もある。

脱構築主義(デコンストラクション)の代表的建築

クライアントであるグッゲンハイム財団は、今までにないようなユニークなデザインとニューヨークのソロモン・R・グッゲンハイム美術館のように吹き抜けによる劇的な空間を要望した。磯崎新やオーストリアの建築家グループ、コープ・ヒンメルブラウらが参加したコンペで見事にフランク・O・ゲーリーが勝利。

大きい吹き抜けで、自然光が降り注ぐ明るい空間となっていて、グッゲンハイム・ビルバオの中心として設計されたアトリウムは、フランク・0・ゲーリー本人によってフラワーと名付けられた。このアトリウムからはネルビオン川と向こう岸の街並みや周辺の山々を見渡すことができ、開放的で気持ちがいい。

フランク・O・ゲーリー本人が認めている訳ではないが、彼の一連の作品と合わせて脱構築主義(デコンストラクション)の建築の代表格と言われ、その中でもダイナミックな空間がユニークなのがこのグッゲンハイム・ビルバオだ。

建築の裂け目のように配置されたガラスの開口部から入った自然光は、白い壁面や淡い色の石の床を照らしより明るい印象になっている。

外観と同じように、色々な空間が幾重にも重なり合うダイナミックな空間構成になっている。複雑な空間の繋がりを来場者が行き来する様子は非常におもしろい。

広くサイトスペシフィックな展示空間

グッゲンハイム・ビルバオは11,000㎡の面積で、ニューヨークやヴェネツィアのグッゲンハイム美術館よりも広い展示空間を持つ。19室ある展示室のうち10室は従来のホワイトキューブのような空間であるが、残りの9室は建築のデザインに合わせた不定形な形状で、建築と作品とが一体になったいわゆるサイトスペシフィックな空間となっている。

最も賞賛されるべき現代建築の一つと評される

脱構築主義(デコンストラクション)の代表的建築であり、フランク・0・ゲーリーの傑作と評されるグッゲンハイム・ビルバオ。フィリップ・ジョンソンら同世代の建築家や美術家、評論家からも最も賞賛されるべき現代建築の一つと評されている。

さらに、前途したように世界中から人が集まる経済効果をして「ビルバオ効果」として、一つの建築による街の活性化など建築デザイン以外の面でも大きく評価されている。

 

今や世界的な巨匠建築家となったフランク・0・ゲーリーの出世作であり、現代建築の中でも重要な作品であるグッゲンハイム・ビルバオ。ダイナミックな空間体験は一般の住宅や美術館ではなかなか味わうことができない。

ヴィトラ・デザインミュージアムや後のパリのルイ・ヴィトン財団美術館にも繋がる建築デザインは、一度は体験して欲しいフランク・0・ゲーリーの建築の一つだ。また、これほどユニークな建築が街と自然に溶け込んでいる様子は非常に稀な現象で、訪れて見なければわからないと思う。

Museo Guggenheim Bilbao – グッゲンハイム・ビルバオ美術館

開館時間 : 10:00~20:00
休館日 : 月曜日
URL : https://www.guggenheim-bilbao.eus 
住所 : Abandoibarra Etorb., 2, 48009 Bilbo, Bizkaia, Spain

大前洋輔

大前洋輔

空間だけでなく色々なモノやコトのデザインをしています。

建築と美味しい食べもの、南の島々を探しによく旅に出ます。

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高低差のあるフロアを交互につなげたスキップフロアの家。

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