伝統的な日本建築の独特の “ 茶室の美術 ” を取り入れた100年経ても美しい家「casa amare」

室町末期から桃山期にかけて発展・完成した「茶道」と「茶室」。日本人の美意識がつまった「茶道」と、機能的かつ合理的な日本建築「茶室」。その中で生まれる「美」や「叡智」を受け継ぐ家「casa amare」。今回は茶事の流れと共にこの美しい家をご紹介したい。

日本建築の美しさと「茶室」のように落ち着いた空間を提案する家。

伝統的な「茶室」は、露地と称する庭園の中に建てられている。「casa amare」もまさに俗世間を離れた非日常的空間と日本建築の美しさ「茶室」のように落ち着きを感じられる家だ。

通常、茶室までの通り道は、飛び石を配し、亭主の心遣いにより打ち水が打たれている。茶室の前にある樽で手水を使い、手と口を清めるのが茶道のマナー。「casa amare」も茶室までの順路のように石畳を歩き、玄関を開け洗面所で手を洗い、リビングにたどり着く。

茶道では、お客はいきなり茶室に通されることはなく、まずは「寄付」と呼ばれる部屋で茶事に不要な荷物しまい、足袋にはき替え身支度をととのえる。続いて、「待合」と呼ばれる部屋へ通されて招待客全員が揃うのを待つ。

「casa amari」では、さまざまな間取りが用意されているが、広々としたダイニング・キッチンはまさに「待合」、コミュニケーションの場として居心地よ良い空間だ。広い空間は人の心もおおらかにさせる。

高低差を使い「落ち着き」と「開放感」、2つの印象を際立たせる家。

茶室には2種類の入り口があり、小間の茶室は「にじり口」という小さな入口から頭をかがめて体を入れ、広間の茶室の場合は普通に襖をあけて席入りする。夏にはふちの一方から風が入る風炉が置かれ、冬には炉が切られ、そこが亭主の座る手前座になる。

客が着座すると亭主が勝手口から入ってきて挨拶をし茶事が始まる。茶室の天井は低く、窓からの光も必要最小限に絞られて、主客ともに茶事に集中できる落ち着いた空間を生み出す。

「casa amare」の一階部分の天井高は2200ミリ。通常、2400ミリが標準的な高さだかあえてこの高さ。低さが圧迫感に感じるような空間はもちろんナンセンスだが、高さを抑える事で空間に落ち着きが生まれる事もある。高さを抑えた空間と繋がるようにして高い吹き抜けがある高低こそが「落ち着く」、「広々とした開放感」という2つの印象をより際立たせる。

普遍的な日本の「美」を継承し、日本人の「叡智」を受け継ぐ「casa amare」。

出典:http://www.happo-en.com

 茶事では食事をいただいた後は、一旦露地に退出してからまた茶室に戻り濃いお茶を一同回し飲み、次に薄茶を味わった後、お客は一期一会の場から静かに退出する。それは、家族や友人などを招き、食事をし、お酒や会話を酌み交わしたあと、ホッと緑茶で一息つくような現代のイメージと重なる。

それと同様に、家造りの尺度も、住まう人が家に求める心地よさや快適も、短い尺度で変わるはずはない。「casa amare」は普遍的な日本の「美」を継承し、日本人の叡智を家造りを通して受け継いでいる。