「江戸東京たてもの園」建築家 前川國男の自邸から見る木造モダニズム建築。2017.02.21Tue

日本モダニズム建築の旗手と言われた建築家「前川 國男」。その自邸が東京都小金井市にある「江戸東京たてもの園」に移築され、誰でも自由に見学することができる。昨年、国立西洋美術館が世界遺産に登録されたことでも記憶に新しい巨匠「ル・コルビュジエ」の弟子であった前川國男の自邸は、建築好きでなくても一度は訪れてみたいもの。

そこで、切妻屋根の和風建築が印象的な、日本の近代建築の発展に貢献した建築家「前川 國男の自邸」を紹介。

戦時体制下で建てられた木造モダニズム建築。

建築家 前川國男は、東京帝大(現東大)卒業後に単身フランスに渡り、ル・コルビュジエのもとで働いたのち帰国し、50年に及ぶ活動を通して、200を超える建物の設計を手がけ、戦前戦後の日本のモダニズムをリードした建築家として知られてる。

その「前川國男の自邸」は、1942年に東京都品川区上大崎に建てられた住宅。1973年に解体され、軽井沢の別荘で解体材の状態で保管されていたが、その後前川家から「江戸東京たてもの園」に寄贈され、1996年に再建された。

太平洋戦争開戦の翌年に建てられたこの住宅は、日本古来の伝統文化への回帰が叫ばれる時代背景もあり当時の文化状況を反映して、瓦屋根を載せた和風のデザインになっている。

外壁は切妻屋根に縦板張りと伝統的な仕様だが、幾何学的な格子窓や灯り障子などの要素が大胆に大きく配置され、まさにモダニズムの造形となっている。モダニズムの旗手前川國男らしいモダニズムの精神があふれている。

二層吹き抜けのリビングに寝室・書斎を配置したシンプルな間取り。

気になる室内部分は、吹き抜けのリビングを中心に寝室・書斎・台所・浴室を配置したシンプルな間取り。

建材の入手もままならなかった、戦時下の物資不足で限られた状況の中でも工夫を重ね、豊かな空間を実現しているのは日本モダニズム建築の代表とも言われる前川 國男ならでは。高窓の下部に入れられた障子や壁に配された地袋など、モダニズムの造形の中にも和の要素も感じ取れる。

前川氏自身のデザインのテーブルと、広々としたダイニング空間。

リビングの上部にロフト風の2階を設け、広々としたダイニングを階段で結んだゆったりとした室内。ダイニングテーブルは前川國男自身のデザイン。自宅に置いてある家具は、ダイニングテーブル以外は前川自身がセレクトしたという。移築されたこちらの自邸にあるものは、「江戸東京たてもの園」がオリジナルをもとに復元したそう。椅子は水之江忠臣のデザイン。

昭和初期を感じさせないモダンなデザインと高いクオリティの前川國男自邸」。

制限された面積で建てられたとは思えないほど広々とした空間は、窓はガラス以外、サッシの車輪やレールに至るまで、すべて木材。昭和初期にこのクオリティの高さは圧巻。

 

幾何学的で、動感にあふれた空間は日本特有の木造モダニズムと言える。建築に興味のある方も、そうでない方も、ぜひモダニズム建築の基礎を作りあげた「前川國男邸」を訪れてみてほしい。

casa amare

日本の伝統美を手本にした

「受け継がれる家」